田植え

6/22・6/23 田植え

まるで湖
まるで湖

   梅雨らしい雨が降り始めた。22日に代掻きをすべく、金曜日の夕方に田の水口を開けに行った。一部の高速道路は通行止めであったため、帰りに時ならぬ渋滞に巻き込まれたのだが、それは問題ではない。現地に着いたのが午後7時半、薄暮の中で水を入れるとともに出口の水位を設定して帰ったのだが、次の朝行ってみるとまるで湖である。慌てて水門を開いて排水を始めたが、3時間ほど経ってもまだ水深が深すぎる。師匠が来て、「そげん雨は降っとらんのに?」と不審顔。なんということはない、師匠が水を止めて丁度良くしていた田んぼに、馬鹿な弟子があとから行って、水を入れたという顛末である。教訓:代掻きと田植えは浅水で行う。

   結局、排水を続けながら午後3時頃から作業開始、7時過ぎまでかかってしまった。流れ去っていく表土が耐え難いくらいもったいなかったが、自業自得であり仕方がない。

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田植え終了

    23日は5時半に起きて7時半に現地着、8時から田植えを開始した。私の田んぼは、切れ込みは深くないものの大文字のBのような形をしている。耕耘する場合も田植えの場合も、Bの膨らんだ部分の処理が難しい。面積に対する苗の消費量が多くなる。今年は55箱の苗を使ってしまった。午後は、植えのこした4隅と欠け苗部分の補植で、泥の中を歩き回って6時過ぎに終了した。

    農宅に戻り、庭に乱立する真竹のタケノコを全て切りたおした。隣の竹林から侵入したタケの根から、毎年200本以上のタケノコが発生する。一年放置すれば、敷地の半分は竹林になってしまう。最初の10本か20本くらいは喜んで食べるのだが、あとは厄介者として扱う。イネを植えて早く大きくなれと願い、タケノコは踏み倒しながら、こいつが生長したら大変だと思う。人とは本当に身勝手な生物である。

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水路整備

6/16・6/17

     私の田んぼのある地域は、横に大河(日本のスケールでは)が流れているにもかかわらず、この河から導水ができないため、水が不足気味である。横に流れている小川から水を取るのだが、水源がわき水であるため田植え時期には雨の助けを待たざるをえない。天気予報を見ると6/20頃に降りそうだということで、23日を田植えの日と決めた。この日を起点にすると16日、17日に用意を済ませておかねばならない。

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作業の終わった田んぼ(左奥は愛車のトラクター)

  3反程度の水田だが、3反分として買ってきた90 Kgの肥料を均一に撒くのは結構難しい。もちろん、トラクターのアタッチメントで肥料散布機もあるのだが、これを買うほどの面積ではない。人力で散布した。つづいて、トラクターで鋤返した後、田んぼ沿いの用水路の整備を行った。整備とはいうものの、水路に溜まった土を上げる作業である。気温は33℃、4時間程の間に4 L 近い水を飲んだ。午後5時からは共通の水路整備が1時間半ほどあったため、本当に疲れた。あとは、本格的な雨を待つだけである。予定通りであれば22日に代搔き、23日が田植えである。

  わき水が水源であるため、夏場でも水温は少々低い。山沿いのところであり、日較差も大きい。イモチ病にさえ気を付けておけば、取れてくる米は少し青米の混じった非常にうまい米である。この辺りで収穫される米は地元で消費されてしまい、市場には殆ど流通していないようだ。私にも、固定客が何人かできてきた。

 先週も今週も、農作業に追われて本来のブログは小休止、まあぼちぼち進めます。

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熱水噴出口

6/13

  有人潜水調査船「しんかい6500」が、カリブ海の水深5000 mの地点にある熱水噴出口を調査するというニュースがあった。噴出する水温は400℃近いという。高い水圧がかかっているため、400℃であっても液体の水の状態にあるという。生物がいるかどうか、もしいたとしたら、その生物のタンパク質や核酸などの耐熱機構など興味は尽きない。それ以上に、実験室に持ち帰ることが至難の業だろう。

  ここまでは常識的な感想だが、朝7時過ぎに高速道路を走っていたら、このニュースがラジオから流れてきた。この時期、新米アナウンサーのデビューの時期で、辿々しいニュースを聞かされることがあるのだが昨日は違った。【有人潜水調査船「しんかい6500」が、カリブ海の水深5000 mの地点にある熱水噴出口を】というところで、「ねっすいふんでぐち」と読んでしまった。一瞬、固まったが、次の瞬間私の方が吹き出してしまった。いやいや、高速からの「出口」も近かったし、後で訂正があったかどうかは知らない。でも、吹き出さずに訂正文を読むのもこれまた至難の業だろう。そういえば福島原発での事故の後だったと記憶しているが、放射線の線量当量の単位であるシーベルトをシートベルトと呼んだNHKのアナウンサーがいたのを思いだした。今回はNHKではありません。

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歴史生物学 生合成から見たアブシジン酸 8

   そうした立場から眺めるとすれば、poly-cis-carotenoid pathwayとかall-trans-carotenoid pathwayとかいう経路の中で、cisであるtransであるというような小さな差異で議論するのは適当ではなく、プラストキノンをはじめとするキノン類を酸化剤として用いる酵素群[EC 1.3.5.5 and 1.3.5.6]と酸素を酸化剤として用いる酵素群[EC 1.3.99.26, 1.3.99.28, 1.3.99.29, 1.3.99.30, 1.3.99.31]に分けて捉えればよいようだ。

図7-6 2つのリコペン生合成系において働く酵素群
図7-6 2つのリコペン生合成系において働く酵素群

   図7-6に示すように、左側に示すpoly-cis-carotenoid pathwayで働く植物の脱水素酵素群は、酸化剤としてプラストキノンをはじめとするキノン類を酸化剤として、分子状酸素の関与なしに二重結合を形成し、リコペンまでの生合成を達成する。一方、図の右側に示すall-trans-carotenoid pathway において働くEC1.3.99.26、1.3.99.29、1.3.99.28、1.3.99.30、1.3.99.31の酵素群は酸素を酸化剤として機能する酵素群であり、これらの機能はシアノバクテリアの分子状酸素生産が始まった後で出現したものであると比定できる。面白いことにこのall-trans-carotenoid pathway系において働く植物由来の酵素EC1.3.5.6は、poly-cis-carotenoid patheay で働くEC1.3.5.6と異なり、酸素を酸化剤にして脱水素を行う。どうやらpoly-cis-carotenoid pathwayの起源は、all-trans-carotenoid pathwayに比べ遠い時代にあるに違いない。

   植物は、細胞内に酸素を発生する細胞小器官を持ち、細胞内酸素濃度が非常に高いにもかかわらず酸素を用いずにリコペンを作る経路を持つ。カビやバクテリアは、細胞内酸素濃度が低いにもかかわらず、酸素分子を酸化剤にしてリコペンを作る。状況から見ると完全に矛盾しているように見えるが、歴史的に見ればこれでよい。

   ちょっと困っている。このまま続けていくと話が、あまりに専門的なところに入ってしまい、いわゆる生合成オタクの人でないと読んでくれない。非常にデリケートで面白い部分ではあるが、思い切り内容を端折ってとにかく最後までたどり着くことにする。

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図7-7 リコペンからβ-カロテンまでの系路

   こうして生合成されたリコペンは、lycopene-β-cyclase(lcyB, crtL, crtYと略記される異性化酵素)の作用により両側の末端が順に環化され、γ-caroteneを通って2つのヨノン環を持つ β-caroteneがようやく生合成されることになる。この閉環反応も無酸素的に進行する。改めて強調しておくべきことは、β-caroteneは分子状酸素の関与なしに生合成される事実である。

   一般に「アブシジン酸生合成系」と呼ばれている一連の系においては、このβ-caroteneまでのプロセスで道半ばといったところだろう。残り半分、ここまでと同じような話が続くのかと辟易する方もおられるに違いない。確かに、反応を追っていくことにおいては同じだが、系の中で起こる反応の種類が激変する。少し先走るようだが、β-caroteneを歴史的視座からみた側面について、ここで一寸触れておくことにする。

   植物における β-caroteneを含むカロテノイドやキサントフィルの存在意義は、長い間集光性色素として働くことにあると考えられてきた。しかし近年では、光照射に伴って生成する励起されたクロロフィルの消去に関与するだけではなく、植物体内で生成した一重項酸素やペルオキシラジカルの消去を通して、酸素傷害防御物質としての重要性が明らかになってきた。地球上で最初に酸素発生型光合成を始めた生物であるシアノバクテリアにおいても、β-caroteneは光合成中心の周りに分布し活性酸素の消去に機能している。

   さらにいえば、KEEGでシアノバクテリアについてカロテノイド生合成系を持っているかどうか調べてみると、記載されている43種のシアノバクテリア全てが生合成能力を持つ。32億年ほど前に、嫌気的生物しかいなかった地球上で、初めて毒物である酸素を作り始めた生物として、シアノバクテリアが酸素に対する防御系を持っていたのは当然であろう。言い方を変えれば、嫌気的条件下において β-カロテンの生合成能力を持つことによって、酸素発生型光合成系の獲得が可能になったのであろう。とすれば、β-caroteneまでの系に存在する代謝物は、32億年より以前からこの地球に存在していたことを意味する。そして、β-カロテンに連なる全ての代謝中間体が、嫌気的に生合成可能な化合物群でなければならないのはは自明のことであろう。

   1988年に出版された中野、浅田、大柳等の編集による「活性酸素」という大著がある。すり切れるほど読んだ本の一冊だが、この中の記述に従えば、20億年ほど前に、生物は酸化酵素・酸素添加酵素を獲得したという。その後、1999年になって、Brocks らは、27億年前には真核生物に特有なステロールの生合成がはじまっていたと報告した。ステロール生合成の最初の反応が、スクアレンからスクアレン1, 2-エポキシドへの酸化反応であることを考えると、この報告は生物による酸化酵素・酸素添加酵素獲得の時間を7億年近く早めたことになる。大気中の酸素濃度の本格的上昇はいまから23-24億年前にはじまったとはいえ、シアノバクテリアが活発に活動するマットと呼ばれる部分の酸素濃度はそれ以前にかなり高くなっており、ここでは多種多様な酸化反応が試されていたに違いない。

図7-8 カロテノイドとステロイド合成系の類似性
図7-8 カロテノイドとステロイド合成系の類似性

   さて、図7-8に示すようにステロールの生合成とカロテノイドの生合成には多くの類似点が存在する。イソプレンユニットの伸長反応が共通なだけでなく、ステロイド生合成におけるファルネシルピロリン酸からスクアレンの生合成は、最終段階以外はカロテノイド生合成におけるgeranylgeranyl pyrophosphateからphytoeneの生合成の写し絵であり、両反応を触媒する酵素もphytoene/squalene synthase familyと呼ばれる同じグループに属している。では、スクアレンの生合成とphytoeneの生合成、どちらのと生合成反応が先行するのだろう。スクアレンはファルネシルピロリン酸から作られ、phytoeneはゲラニルゲラニルピロリン酸から作られる。ゲラニルゲラニルピロリン酸はファルネシルピロリン酸に1分子のIPPが結合して作られる。つまり、ファルネシルピロリン酸の生合成はゲラニルゲラニルピロリン酸の生合成に先んじて起こっている。この順序は変えられない。

   では、ファルネシルピロリン酸を原料とするスクアレンの生合成が、遅れて作られたゲラニルゲラニルピロリン酸を原料とするphytoeneの生合成に先んじるのかといえば、どうやらそうではないらしい。嫌気的光合成を行う42種の細菌の全てがphytoeneを通ってlycopeneまでの生合成系を持つのに対して、スクアレン生合成能を持つのは紅色硫黄細菌に属する好塩菌Halorhodospira halophilaの1種だけである。さらにこの菌はスクアレンから先の代謝系をほとんど発達させていない。

図7-9 古細菌のテルペン性膜脂質
図7-9 古細菌のテルペン性膜脂質

        この結果はphytoene合成が先に機能を始め、この反応を触媒するphytoene synthaseの遺伝子が重複後、一方の遺伝子が本来の基質であるGGPPと構造的によく似たFPPを認識してスクアレン生合成を触媒する方向に進化したことを示唆している。この推論はphytoeneにはじまるカロテノイドの生合成がステロイドの生合成に先行して起こっていたことを意味するであろう。Brocks らの報告にあるようにステロイドの生合成が27億年前に始まっていたならば、それよりさらに前にカロテノイドの生合成が成立していたに違いない。考えてみれば、古い時代の形質を維持してきたと思われる好熱性古細菌の膜脂質も、テルペンを脂質部分として持つエーテル脂質であった。(図7-9)

  ちなみに、リコペンとはトマトに含まれる赤色色素であり、我々の生活と遠い世界の話ではない。

歴史生物学 生合成から見たアブシジン酸 10 に続く

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慈雨

6/1

   久しぶりの雨である。植え付けた後、きつそうにしていた梅が生き返ってくれれば有り難い。風邪の後遺症で咳が少し残っていたが、朝起きるとムシが騒ぎ出し、やはり出かけてしまった。到着した頃から、雨はだんだん強くなるが、来たからには何もせずに帰るわけにはいかない。農宅の横に植えていたタマネギを100本ほど収穫した。今年は非常に生育が良く、小振りのカボチャほどに生長したものもある。だが、近所の本職の人によると、巻きがあまく充実していないとのことだ。腐敗が早めに来るだろうという話である。今夜からタマネギづくしの夕食が続くのは間違いない。

6/2

スクリーンショット(2013-06-03 21.23.09)
マルベリー(黒いのが熟した果実)

  雨のなか、山の畑に行ってみた。霧が出ており視界は50 m もない。レインコートをきて靴の裏に土をつけて歩き回っていると、一昨年植えたマルベリーに実が鈴なりになっている。軽トラからビニール袋を取り出して採集を始めたが、半端な量ではない。7本の木から、4 Kg 近く取れた。持ち帰ってからの処理が大変だが、このマルベリージャムを楽しみにしている人もいる。娘の睡眠時間が減りそうである。

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