緊急事態

緊急事態

その一

  先週書いたように、イモチ病の発生を認めて薬剤を散布したのだが、直後に大雨が降った。効きが悪いかもしれないなとは思っていたが、予想通り水口付近の葉っぱの色が黄色くなっている。葉っぱにはイモチ特有の病斑も出ている。もうすぐ出穂期を迎えるイネにとって、先週移動してきたクモヘリカメムシと穂首イモチは大敵になる。そういうわけで8/11日に殺菌・殺虫剤を散布してきたが、非常に不安である。本来なら粉剤ではなく水和剤を使いたいところだが、噴霧にかかる労力を考えると二の足を踏まざるを得ない。(基盤整備をしたとはいえ、田んぼへのアクセスに問題有り)16日に様子を見て判断しよう。

その二

  田舎の農地にかまけて、自宅の庭が荒れ地状態になっている。不精者の盆働きといわれるが、13日から草取りと庭木の剪定である。雨が殆ど降っていないため、地面の固さは格別で草取りというわけにはいかない。エンジン式草刈機で力任せに切っていくのだが、伸びきったメヒシバ、オヒシバ、ツユクサなどの乾燥気味の茎が草刈機に巻き付いて作業の進行を遅らせる。私としては早朝から始めたいが、住宅地の真ん中であまり早い時間からエンジン音を響かせるわけにはいかない。オオバコ、ドクダミ、ヘクソカズラ、スベリヒユ、そしてヤブガラシなど、いわゆる雑草といわれる種は一応知っているとはいえ、知らない植物があると図鑑に戻って名を調べながらの作業であるから、いよいよ遅くなる。外気温が33℃を超える11時過ぎに中断、少し日差しが弱くなる4時頃から再開するも、一日では到底無理である。

その三

  山の畑は、本道からの入り口が鋭角になっているため、軽トラでもやっとという状態である。そう簡単に出入りできるわけではない。入り口にロープでも張るかと考えたこともあるが、必要以上に権利意識をむき出しにするのも嫌で放置していた。さて、あまりきれいな話ではない。11日に草刈機を取りにでかけたら、入り口から数メートル入ったアスファルトの上にティッシュペーパーがこんもりと置いてある。何でと思ってよく見ると、下には軟らかめの雲古である。ティッシュを使っている以上、野生動物ではないだろう。こんなところでしたのだから、本人にとって緊急事態であったことは想像できる。だが、イノシシでもアスファルトの上ではしない。せめて脇の草むらで、土をかければ何とかなるところを選んで欲しかった。こんな状態では、質の良いティッシュペーパーが悩ましいし、写真を添付するわけにもいくまい。

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キラキラテープは鳩に効く

8/3

  いつも通り出かけたのだが、途中で道の駅などに寄ったため到着は昼近くになってしまった。早めの昼食を取ったものの、余りの日差しの強さに野良にでるのは控え家の中でぶらぶらしてしまった。さて、懸案のハトよけテープだが、かなりの効果があったようだ。発芽した苗の殆どが、食害を受けていない。キラキラテープは雀だけではなくハトにも効果があることを確認できた。もっとも、まいた種が残り物で発芽率が低かったらしく、少々虫食いの入った畝になってしまったが。時期遅れ、発芽の不揃いがあるとはいえ、数回分のビールのつまみにはなるだろう。

  3時を過ぎると、少し雲がかかってきたため、田んぼでのヒエ取りの続きである。田の水で濡れたのか、汗で濡れたのか分からないようになりながらも、何とか終わった。ところ。で、水田の一部が、妙に黄色っぽいし発育もいくぶん遅れ気味である。よく見てみると、葉っぱにイモチ病斑が発生している。いもち病は水温の低い水口付近に発生すると予想していたのだが、発生したのはもっとも水温の高い部分である。昨年も同じ場所に発生した。何か他の要因があるのだろう。これ以上蔓延されては困るので、すぐにイモチ病防除薬を購入、7時半までかけて散布したのだが、散布が終わって10分も経たないうちに雨が降り出した。残念、様子を見ながら撒き直すかどうかは来週判断しよう。

8/4

  朝起きると、土砂降りである。水が不足気味であったので雨自体は嬉しいが、昨日撒いた薬剤の運命が気になる。農地と自宅が離れていると、状況がよく分からないのがもどかしい。現地に着いてしまえば何とかなるかもしれないと考え、雨の中75Km先の農地まで出かけたのだが、現地も先が見えないほどの豪雨とあっては取り立ててすることがない。昨日に比べると7℃近く気温が低いため昼寝には最高である。3時間程熟睡した。熱帯夜の連続による寝不足の解消である。気持ちよく目覚めた後は、安全運転で帰宅、何をしに行ったのやら?

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草刈とクモヘリカメムシ

8/8

スクリーンショット(2013-08-10 0.11.22)

  木曜日ではあるが、一寸休みを取って田んぼに出勤。少し残っていたヒエを殆ど取り終わった。水田にたくさんのヒエの穂が出ている風景は、やはり幾分かの違和感を感じる。今後、少しはヒエの穂が出るかもしれないが、みっともないような状況になることはないだろう。この件は、それでよし。

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  私の田んぼのすぐ上に、放置されている水田がある。放置されているとはいっても、年2回は草刈りの委託がされているらしく、いわゆる放棄地ではない。その草刈りが昨日行われた。耕作をしていない水田であるため、ジュズダマやエノコログサをはじめとするイネ科の雑草が繁茂していた。3時間程で草刈りは終了、法面には除草剤の散布もされた。私も、畦と周囲の道路の草を刈ってちょっぴり良い気分でいたのだが、世の中、そう甘くはない。田んぼ一面にほんのりと異臭がするのである。昨年の記憶がよみがえった。上の田んぼで棲息していたカメムシ-クモヘリカメムシが、大挙して私の田んぼに移動している。このカメムシは斑点米の原因となるムシで、防除せざるをえないだろう。抗イモチ剤を撒けばよいと想っていたが、殺虫剤も入った薬剤を考えなければならないようだ。詰まるところ、我が田んぼだけで完結しているのではないということである。

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閑話休題

  光の春という表現がある。立春から春分までの時期、気温はまだ低いとはいえ、時折射しこむ陽光の明るさに春の息吹を感じる瞬間を捉えた言葉であろう。光の春という言葉が成立するなら、光の夏という言葉はないのだろうか。極めて安易だが、グーグルで「光の夏」を検索しても、私の想いに合致するものは無いようだ。「光の夏」という言葉のつながりから浮かんでくる心証風景があるとすれば、五月晴れの下、湧き上がる黄緑色の若葉を照らす目映い光である。

  急に現実的な話に戻るが、この時期の紫外線強度は盛夏の頃と殆ど変わらない。その紫外線の下で咲き乱れる花々は、どのようにして紫外線傷害を回避しているかとの問題意識を底流にして、植物の色素についての文章を書いた。5月5日と6日に公開した「花の色は移りにけりな1〜6」である。ブログを書き始めたばかりで十分な用意もなく論を尽くしたとは言い難いが、植物色素に対する基本的考え方は間違っていないと考えている。本来は9章としてここに入れる予定だった。連続性も考えて、再度これ以降にアップすることにする。興味のある方は読み返して欲しい。

  さて、このブログページの右上に、Noisy Minority and Silent Majority というフレーズを入れている。別に政治的意図があって入れたわけではない。Silent Majorityとは、1969年のベトナム反戦運動が盛んであったアメリカにおいて、当時大統領であったニクソンが使ったフレーズである。声高に反戦を叫ぶ若者達に対し、静かに私を支持してくれる穏健な多数派の国民を意味していた。Noisy Minorityはこの反対語であり、少数派でありながら声だけは大きいグループを意味する。なかなかにいろんな使い方ができる政治的用語である。

  生物の体内で生起する多種多様な化合物群を、まとめて代謝物(Metabolites)と読んでもいいだろう。代謝物を分類する方法にはいくつかの種類がある。もっとも良く使われるのは、生合成のプロセスを基準とするものである。これは酢酸-マロン酸系に属する、あれはテルペンだ、それはシキミ酸経路に由来するなどとして、化合物群をグループ化していく。この分類においては、構造的類縁性は局所的には担保される。従って生理的活性についての類縁性についても、局所的には成立するが、大局的には全く成立しない。

  代謝物を一次代謝物、二次代謝物として、生理的意義に基づいて分類することもよく行われる。この分類の説明は、何気なく聞くと何となく分かった気になるのだが、この概念に従って代謝物を分類することははなはだ難しい。生存に関係ないと思われる二次代謝産物の連なりの後に、重要な生理活性を持つ(一次代謝産物)が忽然と現れるのである。まあ、そういう堅いことは言わずに、歴史的経緯もあるし、という暗黙の前提の上に成立している概念のようだ。

  もっとも分かりにくいのが、代謝物を中間代謝物(中間体)と最終代謝物(目的物質)に分類する方法である。自らが問題として設定した代謝物を最終生産物とし、そこまでに出現する物質群を中間生産物と規定するこのやり方においては、A氏の中間代謝物はB氏の最終生産物となって当然である。ここには、代謝物全体を見るような総合的視点は欠片も存在しない。

  これ以外にもいろいろな捉え方があるが、どれも帯に短したすきに長しという状態であろう。私も長い間、合理的な分類法はないのかと模索を続けてきたが、全てを矛盾なく包含するような精確な分類法は思いつかない。寧ろ、そんなものはないと考えるのが正しいのではないかと思い始めている。とはいえ、考え続けてきた結果が何もないでは寂しいので、一つだけ紹介する。植物についての話となるが、代謝物を植物中の存在量と生物活性を指標として分類するという方法である。

  植物の代謝物を、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、デンプンなどに代表される多量に生産され蓄積される物質群と、オーキシン、ジベレリン類、サイトカイニン、エチレン、アブシジン酸などに代表されるごく少量しか生産されず蓄積もされない物質群に分けたのである。今更といわれかねない馬鹿馬鹿しい分類だが、この分類に隠れている現象をよくよく考えると、まんざら馬鹿馬鹿しいとも言えない。色々な代謝物がもつ植物自身に対する生理活性を加味して考えると、低活性あるいは無活性の代謝物であれば少量であろうと大量であろうと存在してもかまわないが、高活性の化合物は少量あるいは微量でないと存在は許されないに違いない。ある代謝物の持つ生理活性が、その物質の存在量に縛りを掛けているのである。こうした捉え方はなかったように思うが、どうだろうか。

  研究という立ち位置からこれらの代謝物を見た場合、最初にテーマとして選ぶのは微量で高活性の代謝物を選ぶのは当然のことであろう。いわゆるNoisy Minorityとして分類される物質群である。一方、大量に存在するにもかかわらず明らかな生理活性が認められないために、軽視され続けてきたリグニンやデンプンのような物質群がある。「リグニンやデンプンを軽視してきたことはない、重要な生物資源ではないか」とする異論があるかもしれないが、それは他の生物(人を含む)にとってという極めて功利的な意味での興味であったろう。視点が違うのである。植物にとってのリグニン、デンプンという立場からの研究量が、植物にとっての植物ホルモン類という研究の量と比すべきもないのは明らかである。こうした低活性あるいは無活性で多量に存在する物質群をSilent Majorityと比定したわけである。

  Silent Majorityは、穏健で異論を吐くでもなく黙々と働き納税する大衆を指す。では、Silent Majorityと比定された物質群は何をしているのか。この問いこそが、私が永年持ち続けた問いであった。何故そういう問いを持つのか?それは、これらの物質に対して現在行われている説明のなかに、嘘と論点のはぐらかしを感じたからである。追々、この問題には触れることにしよう。それにしても永年生きてきた巨樹は素晴らしい。いかに巨大な幹であっても、生きているのは周縁の2〜3 cmにある組織に過ぎない。リグニンやセルロースが主体となるその内側は死んだ組織である。千年を超える樹齢を持つ巨樹は、千年以上にわたって自らの死と同居してきたわけである。光の夏、死を内包した巨樹の、生き生きとした姿は哲学的でさえある。

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キジバトと大豆

7/27

  強烈な雨だった。午前中、一寸病院に寄ってから出かけたため、農宅についたのは昼過ぎだった。早速、先週播いていたダイズを見に行ったが、全く発芽していない。おかしいなとよく見れば、発芽した子葉が全て食べられている。庭にいつも飛来しているキジバトのせいだ。チウラムをまぶして播けばよいと耳学問として知ってはいたが、ここまで完璧にやられるとは思わなかった。「あの鳩らめ、どうしてくれよう」とは思うものの、上手そうに食べている姿を想像すると、捕まえる気にはならない。

  播種には一寸ばかり遅すぎるが、気を取り直して再度植えようと考えていたら、次第に雲行きが怪しくなりやがて激しい雷雨となった.昼食を取り、昼寝をしながら回復を待った。しかし、粒ぞろいの雨が降り続いて仕事にならない。こんな日、本来なら刃物を研いだり、機械類油を差したりすべきだが、全てを本宅に置いてきている。縁側から田んぼを眺めながら2時間、あきらめて帰途についた。

7/28

  田んぼに行くと、ヒエの穂が出はじめている。ざっと見たところ100本は越えそうな数である。イネとヒエ、分類学的にかなり近いため、昔は選択性のある除草剤を作るのは困難であった。近年では、結構良い選択制を持つ薬剤が上市されているとはいうものの、もはやイネの草丈を追い越して、穂まで出し始めているヒエに効く薬はない。田植え用の長靴を取り出して、人力での草取りを始めた。途中で疲れたと思っても、座ることは出来ない。ヒエ自体の本数も思ったより多い。引っこ抜いた分をかなり大きめのナイロン袋に入れていたのだが、あふれてしまった。汗が目に入り、息が上がるのだが、手元に水はない。とにかくあっちの端までと、よろめきながら取っていく。いや地獄である。2反弱を終わらせた時点で、ギブアップ。後は次回に残した。

  さて鳩である。雀追い用のアルミ蒸着テープを購入して、これを張ってみることにした。隣の竹林から適当な長さの竹を切り出し、これを打ち込んで支柱とした後、テープを張る。テープに少し捻れを入れておくと、少しの風でも思いがけない視覚的効果が得られる。ポケモンのキラキラ画像と似ているかもしれない。後は、鳩が警戒してくれることを期待しよう。

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