ついに選挙

ついに選挙

  とうとう選挙が始まった。嫌な季節である。現在は、一応公務員であるため選挙運動をすることは止められている。このブログ、下らないことを書いている部分は別として、一般人のヒトが読んですぐに分かるという内容ではない。科学的内容を扱う部分では、いわゆる常識的な解釈を批判しているため、読んで笑うためには常識的解釈をゆとりを持って理解していることが求められるだろう。結論としては、このブログを楽しんでいるヒトは、ある程度以上の知識を持っているだけでなく、その知識を相対化できる柔軟性を持つと判断してよい。従って、私がどこかの政党に肩入れしたとしても、その程度のことで意見を変えるヒトがいるはずもない。

  それにしても今度の選挙、TPPについて言及する政党が存在しない。TPPを進めようとしていること自体が、端から公約違反であるから触れないようにしているのだとは思うが、他の政党においても事情は同じだろう。もう少し、ファナティックではない中道政党はないものか。空しい話だが、Worst ではなくless Worstを選ぶ選挙権行使しか方法はない。

  などと文句をたれていたら風邪を引いたらしい。喉はがらがらで咳き込んでばかりいる。幼かった頃から少々気管支が弱く、直った後も咳だけが長引くのが常である。冬の初めに風邪を引くと、冬の期間ずっと咳が止まらない可能性もある。無理をせずに温和しくしておこうと思ってはいるのだが、なかなか思うようにはならない。

  明後日には家屋検査の立ち会い、日曜日は昔の知人が本当に農業をやっているかどうか検分に来る。次の週の土曜日は、ブルーベリーの成木50本を下さるという話が入っているため、朝早くから走り回らねばならない。ブルーベリーは酸性土壌を好む樹種であるため、植え付け穴用にボラ土とピ−トモスを混ぜた培養土を作らねばならないし、まず植え付け穴を掘らねばならない。植え付け穴を掘るためにはユンボを動かさなければならない。何よりもボラ土とピートモスの手当てしないといけない。植える場所の整備もしなくてはならない。植え付けが間に合わないようであれば、根巻きしておくための麻布の用意もいる。咳などしている暇はないのだが・・・。

  それにしても、声変わりしてきた。菅原文太のような声になってしまった。しかし、菅原文太はもういない。ああ、昭和は遠くなりにけり。

カテゴリー: 未分類 | ついに選挙 はコメントを受け付けていません

「帰去来辞」

  なんとも云いようがないが、先日またもや勤務可能な期間を残して仕事を辞めることにした。これで4度目である。いやはや、よく辞める男である。この時代、公務員を2度、大学教授を2度も辞めた人間は少ないだろう。1度目は未来を信じて辞めた。2度目は学内政治が嫌になって辞めた。3度目は筋を通して辞めた。4度目は、お金の心配をしながらも残された時間が惜しくて辞めることにした。なんだか陶淵明の後を辿っているようである。

  来年の4月から専業で農民となる予定である。1年目から食えるとは思っていない。しかし、政府の路線に乗った儲かる農業をするつもりはない。いくつかのアイデアはある。もちろん上手くいくかどうかは、全く分からない。「不安はないのか」と問う人が多いが、愚問であろう。不安だらけである。「いいね」と言う人もいる。「本当は僕もやりたいのだけれど」という人がかなり多いのには驚いた。多くの人が、自然回帰願望だけでなく、将来の日本の食に対して不安を持っているようだ。

カテゴリー: 未分類 | 「帰去来辞」 はコメントを受け付けていません

歴史生物学 一次代謝と二次代謝 6

  閑話休題というわけではないが、ニトロゲナーゼの基質特異性の広さについて、どう理解すればいいのだろう。言い換えれば、ニトロゲナーゼの本来の基質は何であるかという問題に向き合わざるを得ないことを意味する。さらに、以下述べる事柄の正しさについて、書いている本人自体が幾分以上の疑念を持っている。どなたか、分かり易い解説をしていただければ有り難いのだが・・・。

スクリーンショット(2014-11-29 23.49.08)
ホイヘンスから撮影された画像。高度約16キロメートルの地点からタイタンの地表を撮影                Photo: ESA/NASA/University of Arizona

   一見すると人工衛星から撮した解像度の低い地表の写真に見える。写真下部の海のような部分に向かって向かって川が流れているとしか見えない。はじめてこの写真をみたときの印象である。だがこの写真は地球を撮した写真ではない。アメリカ航空宇宙局と欧州宇宙機関が1997年に土星探査機カッシーニを打ち上げた。それから7年ほど経って、この探査機は土星に近づき色々な観測を行ったのだが、この探査機から放出されたホイヘンス探査機がタイタンへの着陸の直前に撮ったのがこの写真である。NASAのサイトを見ると、信じられないような沢山の写真が公開されている。そこでこの写真だが、どう見ても浸食地形としか思えない。タイタンの大気は97%が窒素で2%がメタンであるという。メタンとエタンの融点は-183℃、-183℃、沸点はそれぞれ-162℃、-89℃である。タイタンの平均表面温度は94K、つまり-179℃である。こうした条件から、タイタンではメタンの雨が降り、メタンとエタンからなる海が存在するという。

  長い時間をかけて、液体のメタンが地表(この地表も何でできているのだろうか?氷かもしれない)を浸食した結果がこの写真であるらしい。さらに、海の下にはナトリウムとカリウムの塩(推測だが多分塩化物)を大量に含む液体の水の層があるという。それはよいとして、このニュースを見たとき、なぜタイタンにはそんなに大量のメタンが存在するのだろうというのが私の感想、いや疑問だった。少し調べると、木星、土星、天王星、海王星さらに冥王星の大気中にメタンが含まれる。そして含まれる量は各惑星(近年、冥王星は準惑星に再分類されている)において少ない量ではない。

  それぞれの惑星が持つ大気の組成については、惑星の重力、表面温度(地殻の温度)、太陽光強度などによって、ある程度の説明が付くだろう。水素とヘリウムについては、惑星の表面温度と重力によって直感的にある程度納得できる。しかし、窒素の含量については一寸分かりにくい。(大きな惑星の大気中ではアンモニアへの変換が起こっているように見える)さて、一番外側を回っている冥王星は、近頃準惑星へと分類が変わったが、極めて低温、かつ重力は小さい。この冥王星においても窒素が90%、メタンが10%の組成を持つ大気が存在する。この場合、軽い水素とヘリウムは宇宙空間へと脱出してしまい、窒素とメタンは残ったと考えていいのだろう。この冥王星、大きさはタイタンとほぼ同じである。そしてタイタンの大気には窒素が97%、メタンが2%程含まれるという。もう少し大きな海王星の大気には、水素が84%、ヘリウムが12%、メタンが2%、アンモニアが0.01%含まれると同時に、エタンが0.00025%、アセチレンが0.00001%含まれるという。同じく天王星の大気には、水素が85%、ヘリウム13%、メタン2%と海王星とほとんど同じ割合で含まれるだけでなく、エタン、アセチレン、メチルアセチレン、ジアセチレンなどが存在していることが分かっている。

  私の疑問は二つである。一つはこれらの惑星大気に含まれるメタン(その他の炭化水素を含む)はどこから来たのかという疑問である。地球において地殻から吹き出してくるメタンについては、生物に由来するメタンと生物に由来しないメタンがあることが知られている。いや、メタンだけに限定された話ではなく、石油の成因に関しての大きな論争が、存在する。( Lollar, B. S., Westgate, T. D., Ward, J. A., Slater, G. F. and Lacrampe−Couloume, G., 2002: Abiogenic formation of alkanes in the Earth’s crust as a minor source for global hydrocarbon reservoirs. Nature, 416, 522−524., 中島敬史,2005:無機起源石油・天然ガスが日本を救う!?地球深層ガス説の新展開.石油・天然ガスレビュー,37(3),13−24., Gold, T., 1988:地球深層ガス(脇田 宏監訳).日経サイエンス社, http://www.gasresources.net/index.htm 米国のGas Resources Corp.が収集した無機起源説を支持する論文集 (2004)など)

  常識的に判断すれば、太陽の形成が起こった後、宇宙塵の集積で形成された微惑星が衝突合体を繰り返して形成された地球型惑星と宇宙塵だけでなく水素、ヘリウム、水を集積した巨大ガス惑星であっても、惑星生成時に膨大な量の炭素化合物をその中に取り込んだことは間違いない。その後、メタンを始めとする炭化水素の生成に生物がどれくらい関与したのか私には分からないにしても、マントルから涌きだしてくる炭素化合物という考えは十分な蓋然性を持ちそうである。そうすると石油・石炭に対する考えが変わることになる。何しろ、いつまで経っても石油はあと30年と言われてきた歴史がある。現在のように、無茶苦茶な量を掘るのでなければ、かなりの期間利用できる可能性があるのである。

  惑星大気の成因についても、各惑星特有の理由と歴史があり、私のような素人が口出ししても間違うだけであろう。ただ気になるのは、いくつかの惑星の大気中にアセチレンが含まれていることである。小林氏は「タイタンのアストロバイオロジー探査」とする報告の中で、タイタン大気中にもエタン、アセチレン、プロパン、シアン化水素、アセトニトリル、シアノアセチレンなどを検出したと書いている。(「太陽系におけるアストロバイオロジー」タイタンのアストロバイオロジー探査, 小林 憲正, 日本惑星科学会誌 Vol. 20, (No. 2), 94-99, 2011)アセチレンはタイタンの大気においても顔を出すのである。このアセチレンはメタンから光反応で作られるとされてのだが、タイタン創成時に集められた気体のメタンは太陽光により光分解で残っていないはずだという。そうであれば、いま存在するメタンは、タイタンの内部から湧出してきたものに由来すると考えざるを得ない。では、このメタンは生物由来であろうか、それとも無機由来のメタンであろうか?

  いま一つは、アセチレンの問題である。ニトロゲナーゼの活性は、アセチレンのエチレンへの還元反応を用いて測るアセチレン還元法が良く知られているのだが、この反応はニトロゲナーゼ活性測定法として見るだけでは済まないようだ。どこで読んだか記憶にないのだが、ニトロゲナーゼの本来の基質はアセチレンであったとする報告を読んだ記憶がある。(いま捜しています)そうであれば、惑星大気中のエチレンとエタン給源の一部はニトロゲナーゼを持つ嫌気的生物である可能性があるわけだ。これらの惑星、表面は冷たいとは云え、惑星内部は放射性物質の崩壊熱でかなり暖かいからだ。さて、初めてニトロゲナーゼを持った生物は、どのような環境下にいたのであろうか。惑星探査においては嫌気的微生物の検出が大きな意味を持ちそうな気がしている。

  またもや、詳しくもないニトロゲナーゼに拘わってしまったと形だけの反省をしている。窒素の廃棄を話題にしようとして窒素の固定に嵌ってしまったわけである。

                 歴史生物学 一次代謝と二次代謝 7に続く

カテゴリー: 未分類 | 歴史生物学 一次代謝と二次代謝 6 はコメントを受け付けていません

歴史生物学 一次代謝と二次代謝 5

  植物の窒素廃棄の問題を考える事にする。窒素、リン酸、カリは中学生でも知っている植物肥料の3要素である。さて、窒素は地球上に無尽蔵に存在する。何しろ大気の80%が窒素である。ところがこの窒素、2個の窒素原子が3重結合をしている分子で、窒素原子間の結合エネルギーは225 Kcal/molにもなる極めて安定な分子である。植物はこの分子状窒素を利用できない。植物が利用できる窒素はアンモニア態窒素(NH4+)あるいは硝酸態窒素(NO3)が殆どで、近年アミノ酸も利用できるという話が流れている。このように窒素分子は極めて安定で、そのままでは植物は利用できない。

  長い地球の歴史の中で使われてきた窒素は、雷(放電)に伴い空気中の窒素から生成する窒素酸化物に由来するものであり、いま一つはいくつかの種類の真正細菌(シアノバクテリアも含めている)と一部のメタン細菌が固定した窒素に由来するものであった。こう書いたとき、根粒菌をどう扱えばいいか少し迷ってしまう。もちろん真正細菌に含まれるのは間違いないにしても、植物との共生をせずに窒素固定ができる根粒菌はいるのであろうか。生物による窒素固定の話は、非常に難解である。地球上の生物において、体を構成する成分として窒素を含むタンパク質は不可欠である。当初は、無機的に生産されていた硝酸を還元して使っていたと思われるが、どこかの段階でニトロゲナーゼを発明して、生産されるアンモニアをアミノ酸合成に取り込む系路を構築したのであろう。(廃棄の話をすると云いながら今のところ窒素固定の話になっている。同化している?)

  「・・・アミノ酸合成に取り込む系路を構築したのであろう。」と書いて、そっと次の話に行けば、かなりのヒトを騙すことができると思うのだが、そんな姑息なことはしない。都合が悪くても事実は事実である。ここには、ニトロゲナーゼについての理解しにくい疑問が存在する。ニトロゲナーゼは以下の式に従って1分子の窒素ガスを2分子のアンモニアに変換する。

     N2 + 8H+ + 8e + 16ATP ——————–> 2NH3 + H2 + 16ADP + 16Pi

  見て分かるように水素の生産も同時に起こっている。もちろん、水素生産を無視して書くことは可能だが、それでは事実は見えてこない。水素生産はニトロゲナーゼの代表的な副反応の一つであり、ATPの加水分解と共役した水素生産を示しているのだが、ニトロゲナーゼのもつこの還元的ATPアーゼ活性が、なかなか難しい。この反応を行うニトロゲナーゼを還元的ATPアーゼと捉えたとき、この酵素の基質特異性が極めて低いのである。次の表を見て欲しい。

スクリーンショット(2014-11-23 22.56.49)

  表の中でイタリックが外れている部分があるが、ご愛敬と云うことで許して下さい。もちろん、ある生物の持つ一つのニトロゲナーゼが全部の反応を行うわけではない。とはいえ、この基質の広がりは何を意味するのであろうか。ここで出現している化合物群を眺めると、原始地球における大気や海水中にある成分を考えてしまう。ニトロゲナーゼという酵素が極めて酸素に弱いことを併せて考えると、この酵素の出現は地質学的な意味でかなり昔と云うことになりそうだ。

                  歴史生物学 一次代謝と二次代謝 6 に続く

カテゴリー: 未分類 | 歴史生物学 一次代謝と二次代謝 5 はコメントを受け付けていません

歴史生物学・・・一次代謝と二次代謝 4

  少しだけ補足をしておきたい。ヒト1人の二酸化炭素放出量が約1 Kgと書いた。考えてみると70億人の人間が年間に放出する二酸化炭素量は25.5億トンにも上る。化石燃料の使用による二酸化炭素の放出量が260億トンであることを考えると、ほぼ1割に当たる。あらためて何とか云うつもりはない。ちょっと計算すると、結構な値になるなと思っただけである。

  熱廃棄の問題も、化学工学の分野では余りにも当たり前の話である。化学合成を行う場合の反応温度の制御は、少量であれば何でもないのだが、スケールアップすると急に難しくなる。研究レベルでの合成しか経験はないが、スケールアップして発熱する実験を行うときの怖さは、身にしみて感じていた。10倍にスケールアップして実施したのに、分離が大変になっただけで得られた量は10分の1スケールの場合に達しないなどという思いがけない収率の低下に愕然としたことも一度ならずあった。

  固形排泄物(雲古)についても簡単に書き流したが、未消化の固形物は別として同時に排泄される微生物の栄養源は何かという問題は残るだろう。消化管の中には酵素と呼ばれるタンパク質が分泌される。肝臓からは食物に含まれる脂質を利用しやすくするために胆汁酸と呼ばれるステロイド骨格を持つ界面活性剤が分泌され、同時に赤血球の分解産物であるビリルビンのグルクロン酸抱合体も分泌される。消化管の内壁は常に剥落を繰り返している。温度は37℃前後で、こうした栄養分だけでなく消化されて生じた単糖類やアミノ酸がある消化管内は、微生物にとっては天国にも等しい。しかし、野放図に微生物に増えられたらホストの命が持たない。ホストは消化管からIgA(イムノグロブリンA)を分泌して、腸内微生物をコントロールする。こうした秩序ある混沌の結果として、ステルコビリン輝く雲古となるわけだ。これに含まれる微生物は、我々の分身の変化したものであることを考えると、廃棄物いや廃棄生物とみなす事も可能のようだ。

  そろそろ植物についての議論になるが、動物と植物は基本的に違う側面を持つ。色々な見方ができる。例えば、動物は動き植物は動かない。それはまあ概ね認めるとして、動物は消費者であり植物は生産者である、動物は酸化的に生き、植物は還元的に生きる、などなど。ここでは、捨てるという視座から、植物を考えることにしよう。植物は、何をどのようにして捨てるのか。植物においては、前回の廃棄の話を逆の順序で進めることにする。

  熱廃棄、植物にとって生成する熱をどのように捨てるかという問題である。こんなことを言うと馬鹿にされそうだが、植物であっても代謝熱を発生する。陸上動物で最大と云われるアフリカゾウの体重が10トン弱、このゾウが体温調節のために大きな耳を持ち、ここを通る血液を通して放熱を行うとされている。では、植物はどうか?植物が発熱するということ自体に違和感を持つ方がいるかもしれないが、目に見える形で発熱する植物は存在する。例えばサトイモ科のザゼンソウ、東日本に分布し早春に咲く花で、肉穂花序での発熱により周囲の温度が氷点下になっても、花の内部は20℃以上の温度を保つという。写真を見ると早春の寒気の中で、周囲の雪を溶かして開花している。(http://www.sugadaira.tsukuba.ac.jp/column/201005column.htmlを参照)

  発熱を行う植物はザゼンソウだけでなくハス、ヤシ、ソテツなども発熱することが知られている。身近なものでは、緑豆(モヤシ)の発芽時の温度を測ってみればよい。結構発熱するものである。この発熱の意義については色々と論じられているが、どれも目的論的意義付けが過剰であるとの感は免れない。寒い中で、昆虫を集める、臭いを強める、寒冷傷害を免れる、花粉管の伸長を促す、受粉率を上げる、等々のために発熱するというわけである。私の立場から見ると、発熱植物は熱帯原産であるように見える。その熱帯原産の植物が、たまたま発熱する能力を持ったが故に温帯あるいは冷温帯への進出が可能になったと素直に考えるのだが、間違っているだろうか。まあ、結果は同じであり解釈の違いに過ぎないのかもしれないが。

  またもや脱線したようだ。植物の熱廃棄が論点であった。10トンのゾウの細胞は、ネズミの細胞に比して5.6%しか活動していないという。それでも体内に熱がこもるため、放熱装置を持つ。植物細胞はネズミの細胞に比してどの程度の割合で活動しているのだろうかと色々と本やネットのサイトを漁ったのだが、そうした発想自体が存在しないようである。理由は植物細胞の分布の形にもあるのだろう。植物で最大のものは(測り方でかなりな差が出るとは思うが)、カリフォルニア州のGiant Forest内にあるシャーマン将軍の木ということにしておく。このセコイアデンドロンの木は、樹高が約84 mあり、その体積は1,486 m3であるという。重さはどれくらいあるのか分からないが、気乾比重が0.45(含水率15%のときの比重)と書いてあることから概算すると、この木の含水率を15%まで落とした場合でも680トン程あることになる。ではこの植物において廃熱が問題になるかと云えばそれはないと考える。木の重量が500トンあろうが1,000トンあろうが、幹の大部分は死んだ細胞であり、発熱はしない。幹の周りの表皮を剥いで樹木を枯らす「巻き枯らし」という方法が示すように、いかに巨大な木であっても生きているのは幹外縁の形成層と師管の部分だけであり、その内側は死んだ細胞の集団があるだけである。巨樹のもつ圧倒的かつ神秘的な存在感は内包する無量の死に由来するのだろうか。とにかく、熱発生を行う細胞集団の放熱面積は極めて広く、熱廃棄の問題は生じないと考えて良さそうだ。葉は植物において最も活発に活動している細胞群からなるにしても、これもまた平板状の構造故に放熱面積は十分と考えていいのであろう。

  書き始めでちょっと方向を間違ったようで、なかなか本論に向かえない。この流れに従えば、植物の窒素の廃棄から炭素の廃棄へと論を進めざるを得ないだろう。苦し紛れに書いているので、支離滅裂、牽強付会、我田引水というタイトルを、自ら付けたくなるほどだ。とはいえ、ここまでの文章を全部消して書き直すというのも癪なので、このまま迷走を続けることにした。

 歴史生物学・・・一次代謝と二次代謝 5 に続く

カテゴリー: 未分類 | 歴史生物学・・・一次代謝と二次代謝 4 はコメントを受け付けていません