「帰去来辞」

  なんとも云いようがないが、先日またもや勤務可能な期間を残して仕事を辞めることにした。これで4度目である。いやはや、よく辞める男である。この時代、公務員を2度、大学教授を2度も辞めた人間は少ないだろう。1度目は未来を信じて辞めた。2度目は学内政治が嫌になって辞めた。3度目は筋を通して辞めた。4度目は、お金の心配をしながらも残された時間が惜しくて辞めることにした。なんだか陶淵明の後を辿っているようである。

  来年の4月から専業で農民となる予定である。1年目から食えるとは思っていない。しかし、政府の路線に乗った儲かる農業をするつもりはない。いくつかのアイデアはある。もちろん上手くいくかどうかは、全く分からない。「不安はないのか」と問う人が多いが、愚問であろう。不安だらけである。「いいね」と言う人もいる。「本当は僕もやりたいのだけれど」という人がかなり多いのには驚いた。多くの人が、自然回帰願望だけでなく、将来の日本の食に対して不安を持っているようだ。

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