多忙です

 先月の20日過ぎから熟期となった桑の果実、一昨日で収穫を終えた。桑の果実を大量に取り扱っている人がほとんどいない理由を痛感した。大量の果実が20日程の間に一斉に熟してしまう。平均3〜4グラムの果実を手摘みしていては、とても間に合うものではない。

 さらに、摘んだ後の果実の逃げ足が極めて早い。その日のうちに処理をしないと次の日はグニャグニャになってしまう。この後熟の早さはきっとエチレンが原因であろう、エチレン生合成の阻害剤はなかったかななどと思っても、現場では役に立たない。あったにしても、当該植物に対する農薬登録がされていない限り、使えば違法行為である。植物生理学的知識などここではいらない、歩行禅ならぬ収穫禅の世界である。何も考えずに、ただただ果実を摘んでゆく。時々深呼吸をしないと、呼吸することさえも忘れている。

 収穫して、洗って、選果して、フリーザーに入れる。何も考えずに20日間、これを続けた。売る事など考える余裕はない。それでも4割ほどは過熟の果実となり、株元に落ちた。菌核病の事を考えると、果実を落とすのは好ましくないのだが。

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過剰と蕩尽 15

 前回の予告通り、まず糖新生系を描いてみよう。解糖系の逆反応であると定義するならば、図に示すようにピルビン酸からはじまってグルコースに達する系路になるであろう。

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Gluconeogenesis of Homo sapiens

 解糖系の逆反応とはいえ、解糖系とは最初の段階から異なっている。解糖系においてはホスホエノールピルビン酸(以下PEPと表記する)からピルビン酸への変換は、ピルビン酸キナーゼの存在下にリン酸基をADPに移しATPを生産する。しかし、この反応は可逆反応ではないためピルビン酸からPEPへの変換には別の系路が使われる。すなわち、ピルビン酸のメチル基がATPを消費しながら二酸化炭素と反応してオギザロ酢酸に変換される。(この反応は炭素の固定反応として考えられる場合もある。)得られたオギザロ酢酸はGTPを消費しながら脱炭酸反応を行い高エネルギーリン酸結合を持つPEPへと変換され、ここで逆行する解糖系の流れに乗るわけだ。

 ここからはエノラーゼによる水付加反応によって2-ホスホグリセリン酸、ホスホグリセロムターゼによるリン酸基の移動により3-ホスホグリセリン酸へと反応が進行する。得られた3-ホスホグリセリン酸はホスホグリセリン酸キナーゼの触媒下にATPからリン酸残基を受け取り1,3-ビスホスホグリセリン酸となる。13-ビスホスホグリセリン酸はカルボン酸とリン酸の混合酸無水物であり、カルボニル基の反応性が高くなっている。このカルボニル基にNADH2+由来のハイドライドイオン(H)が攻撃することで還元反応が起こり、3-ホスホグリセルアルデヒドが生成する。

 この3-ホスホグリセルアルデヒドまでは、オギザロ酢酸を除きすべて3炭素化合物であり、それぞれ2分子が反応系を通ると考えてよい。次に2分子の3-ホスホグリセルアルデヒドのうち1分子がトリオースリン酸イソメラーゼにより1,3-ジヒドロキシアセトンリン酸(グリセロンリン酸)へ異性化されると、この1,3-ジヒドロキシアセトンリン酸と未変化の3-ホスホグリセルアルデヒドがアルドラーゼによるレトロアルドール縮合を起こし、6炭糖であるフルクトース-1,6-ジリン酸が生成する。フルクトース1,6-ジリン酸はフルクトー-1,6-ジリン酸ホスファターゼによる加水分解を受け、フルクトース-6-リン酸へ、フルクトース-6-リン酸はグルコースリン酸イソメラーゼによりグルコース-6-リン酸へと異性化された後、再度ホスファターゼによる加水分解を受けグルコースとなる。フルクトース1,6-ジリン酸以降にホスファターゼによって起こる2つの加水分解反応は、解糖系で起こるキナーゼによる反応とは異なり、ATPを生産することはない。

 従って、系全体を眺めると2分子のピルビン酸から1分子のグルコースをつくるためには、4分子のATPと2分子のGTP、6分子の水そして2分子のNADH2+を消費することになる。そして、時にはピルビン酸の前に乳酸が描いてある場合があるだけでなく、糖原性アミノ酸やプロパン酸、グリセリンなどもグルコースをつくる原料であると記述されているし、グリコーゲンまで系を延伸している場合もある。グリコーゲンまでの延伸は、グリコリシスをグリコーゲンあるいはスターチから描く場合もあるので、これは良しとしよう。しかし、糖原性アミノ酸まで持ち出すのは幾分疑問を感じている。とはいえ、これらの系を糖新生系の関連代謝系とみなすと云うことだろうと考えておくことにする。またここで、反応メカニズムでも描き始めたらきっと嫌われるに違いない。取り敢えず、上の説明で良いとして話を進めることにする。

 さて、糖新生系(グルコネオジェネシス)は上述した説明で十分かと云えば、私は全く不十分であると考える。何故なら上の図はホモサピエンスの持つ糖新生系にすぎないからである。地球上にはホモサピエンス以外に数知れぬ生物種が存在する。そうした生物はいかなる糖新生系を持つのか。前節から分子系統樹の根本付近にいる微生物についての話が続いているので、これら微生物の持つ糖新生系について騙る、いや語ることから始めよう。Wordも雰囲気を察してか、騙ると変換してくれた。

 Thermoproteus uzoniensisを例に考えてみることにする。この古細菌は独立栄養性の超好熱菌で、Sulfulobus, Pyrodictium, Desulfurococcusなどと近縁の種であり、共通祖先に近い生物と考えられている。この古細菌の炭素代謝を見ると、酢酸からアセチルCoAを通りピルビン酸を生合成する酵素系を持つ。

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Glucogenesis of Thermoproteus uzoniensis

 糖新生系の出発物質とされるピルビン酸からホスホエノールピルビン酸への変換は、ヒトの場合はオギザロ酢酸を経由して行われたが、この菌はpyruvate, phosphate dikinase [EC:2.7.9.1]並びにpyruvate, water dikinase [EC:2.7.9.2]により直接の変換が起こっている。(ATP + Pyruvate + Orthophosphate => AMP + Phosphoenolpyruvate + Diphosphate)と(ATP + pyruvate + H2O => AMP + phosphoenolpyruvate + phosphate)形式的にはグリコリシスの逆反応のように見えるが、グリコリシスではphosphoenolpyruvate kinaseが働く別の反応で、反応の方向が逆である。(ATP + Pyruvate + <= ADP + Phosphoenolpyruvate)得られたPEPからグルコース-6-リン酸までの反応は本質的に同じであり、ヒトにおいてもこの反応系はよく保存されていると考えてよいだろう。それほど重要な系であるという意味である。以前、解糖系に対する異論について書いたとき、私はグルコースは盲腸のようなものであると書いた記憶がある。G-6-Pは多数の反応系が出入りするハブ化合物と云ってよいが、グルコースはそうでもないと書いた。共通祖先に近い生物と考えられているこのThermoproteus uzoniensisにおいてもG-6-Pを加水分解してグルコースへと導く系路は存在しないようだ。それはそうとして、Thermoproteus uzoniensisにおいては、酵素EC2.7.9.1を使う系を考えると2分子のピルビン酸と4分子のATP、2分子のNAD(P)H2と5分子の水からG-6-Pを作るわけである。

あれ、ヒトの持つ系より効率が良さそうだ。グリコリシスではより多くのATPを作る系の方が優れているという説明をよく見る。では、系の目的に合わせて考えたとき、Thermoproteus uzoniensisの糖新生系の方が優れていると判断してよいのだろうか。この疑問には一寸したトリックがある。ピルビン酸からPEPを作るThermoproteus uzoniensisの系は、ATPを消費してADPではなくAMPを形成する。AMPからATPの再生を考えると、ヒトの系と効率は同じになる。ああ、安心したと思われる人がいるかも知れないが(私はなんとも思わない)、それでもまだ少しだけ問題が残る。酵素EC2.7.9.1を使う系ではPEPとともにリン酸ではなくピロリン酸が生成するのである。ピロリン酸にはまだエネルギーが保存されているため、これを考慮すると、またもやThermoproteus uzoniensisの方が優位に立ってしまう。

 さて、合理的な説明は可能なのであろうか?

過剰と蕩尽16に続く

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日々観察

 12月に入って10日余り、昨日から雨が降っているとはいえ、かなり暖かい日が続いている。11月に一度寒い時期があったことが原因かも知れないが、畑のパクチョイは全て抽苔してしまい花盛りである。抽苔すると葉が硬くなり味が落ちるので全てを切ろうかと思ったが、よく見るとミツバチが多数訪れて採密している。夏の間、仕方なく使った殺虫剤でミツバチも殺していたはずである。ここは罪滅ぼしだなと考えて、しばらくそのまま維持することにした。

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 暖かさにつられたのか、ボリジも芽を出し順調に生長し蕾までつけかけている。6月末に虫害で枯れてしまっていたが、種子が落ちていたのだろう。

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 ついでにエンドウを植えていたのだが,これも順調に生育中である。このエンドウ、ファラオバイオレットと云われる品種で、いまではさほど珍しくなくなったとはいえ、ツタンカーメンの副葬品のなかにあったという由来の品種である。エンドウの種子が、いくら乾燥状態にあったとしても3,200年余りの保存に耐えるのかどうか、私には分からない。とはいえ、1つのロマンとして楽しめばよい。豆が実る頃のさやの色が美しいので、その頃再度アップする予定である。

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 さらにムギ、麦わらを買ってブルーベリーのマルチ代わりに敷いていた。ところが、10月の半ば頃からムギの芽がぐんぐん伸び始め、元気よく出穂までしてしまった。しばらく前から花も咲いていたので、稔るかもしれないと放置していたら種子ができはじめたようである。これらのムギは収穫に至るのだろうか。

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過剰と蕩尽 14

これから書き続けていくに際して、一言だけ言い訳をしておきたい。以前に解糖系とTCA回路について、幾分詳しく書いた。今後の話において、繰り返し、重複が頻発する可能性が高い。惚けているわけではなく、これからの内容を書きたいが故に、一部を先行させたと理解して欲しい。とはいうものの、惚けている可能性も否定できない。
解糖系(グリコリシス)についての説明を読むと、ヒトの立場からの認識だなと感じる。何しろ、グルコースが出発物質でありピルビン酸が生成物と定義してある。ヒトがヒトの立場から考えて何が悪いと問われるかもしれない。この捉え方を否定はしないが、ヒトの立場で見た解糖系があるのであれば、バクテリアの立場で見た解糖系、古細菌の立場から見た解糖系などが、同じヒエラルキー上にあってもおかしくはない。私の立場は、ヒトの視座を絶対化せずに、相対化した視座から解糖系を眺めたらいかなる風景が見えるか考えましょうと云う立場である。
いきなり熱水噴出口周辺に生きる微生物の話に戻ることにする。前々回に私は、「炭素源を二酸化炭素に求めるか、それともマントルから湧出する炭化水素に求めるかが問題だとは思うが、いずれにしても栄養源は十分にある条件下に生物の発生は起こったと考える」と書いた。個人的には二酸化炭素が炭素源であると思っている。何故ならば、分子系統樹の根本付近にいる真正細菌であるAquifex、Thermotoga、及び古細菌であるThermoproteus、Thermococcusに属する細菌類の中で、独立栄養を営むThermotogaとThermoproteus、そして化学合成独立栄養を営むThermococcusの仲間が、酢酸からつくられるアセチルCoAを用いて二酸化炭素を固定する系路とともに、得られるピルビン酸にもう1分子の二酸化炭素を固定してリンゴ酸を生合成する系路を持つからである。要するに、これらの菌は炭素化合物の代謝を酢酸から出発させていると云ってよい。とすれば、これらの菌体内で先に動くのは糖新生系であることは自明のことだろう。糖新生系で多糖類が、あるいはグルコースが合成された後で、その逆反応としての解糖系が機能し始めたと考えるべきであろう。こうした視座からKEGGの説明文を読むと、2つの系の関係が逆転しているとしか思えない。独立栄養細菌はアセチルCoAとして、いやグリコリシスであればピルビン酸として初発物質を投入するのである。その結果、ピルビン酸の一部は糖新生系を通って多糖類へと流れ、また一部はさらに1分子の二酸化炭素を固定しリンゴ酸へと変換されるのである。こうした理解から私が2つの系を説明するとすれば、
「グルコネオジェネシスはピルビン酸を多糖に変換するプロセスであり、少量のATP(エネルギー)とNADH(還元力)を消費する。それは重要な代謝前駆体群:6炭素化合物であるグルコース-6-リン酸とフルクトース-6-リン酸、及び3-炭素化合物であるグリセロン-リン酸、グリセルアルデヒド-3-リン酸、3-ホスホグリセリン酸、そしてホスホエノールピルビン酸を生産する中心系路である。反応の出発物質であるピルビン酸は、もう一つの重要な代謝前駆体であるアセチルCoAからフェレドキシンを補酵素とする炭素固定反応により供給される。グリコリシスは従属栄養生物に分布するグルコースをピルビン酸まで分解する系路で、主に従属栄誉生物で機能する系路である。この系路は、いくつかの別反応を含むにしろ、本質的にはグリコネオジェネシスの逆反応である。」となる。
要するに、エネルギーは熱水中に含まれるポリリン酸、あるいは硫化水素、メタン、鉄イオンなどに依存し、二酸化炭素を固定することで生きている嫌気的細菌がいまでもいるわけである。彼等の持つ代謝系は、間違いなく好気性の生物が持つ系より古い起源を持つ。グリコリシスとグルコネオジェネシス、ほとんど同じだが逆のベクトルを持つ2つの系路だが、歴史的にはグリコネオジェネシスが先行する。グルコネオジェネシスが成立した後で、グリコリシスが機能しはじめた。この解釈に間違いはないだろう。
先日、何処で読んだか記憶を失ったのだが、一種類の動物しか診断できない獣医を「医者」と呼ぶと書いてあった。思わず笑ったのだが、ヒトしか相手にしない医学教育でよく使われる生化学の教科書、レーニンジャー新生化学、リッピンコット生化学、ハーパー生化学などの書籍において、現状のグリコリシスの概念を記述するのは構わない。しかし、植物あるいは微生物を対象とする書籍においては、グルコネオジェネシスに対する記述をもっと増やすべきではないだろうか。植物であっても、グリコリシスの位置づけは我々とは違うのだから。
次回は、少しだけ詳しくグルコネオジェネシスを追いかけてみたい。

過剰と蕩尽 14 に続く

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過剰と蕩尽 13

 いつものことだが、話が何処へ向かっているのか、書いている本人も制馭しきれていない。書いている本人が、書き足すときに先立つ数回分の内容を読み直すほどだ。ある意味、筆の向くままに走らせている。とはいえ、大枠は「過剰と蕩尽」である。今日まで省みられることのなかった「過剰と蕩尽」というフィールドで見られる生物現象を、全てを説明し尽くす程の才があると思ってはいない。骨格だけでも示す事ができればいい。

 前回までで、原初の生物に過剰生産能を支える物質的・エネルギー的基盤があったこと、生産された物質と熱を捨てることが容易であったことを論証したつもりである。では、そうした能力を持って地球上に現れた原初生物は、どのようにして生きていたのか。彼等の住む環境はどう変化したのか、その変化に彼等がどう対応したのかについて、少し述べてみたい。

 実を言えば、前回の投稿の中に本来なら2つの大きな問題を提起するに違いない一文を潜ませている。だが、この危険な文章はまず気付かれる可能性はないだろう。当たり前の内容であるからである。科学と云う体系は、我々の魂を宗教的な非常識から解放したと思われているようだが、同時に科学と云う体系が持ってしまった偏見の枠組みに取り込まれたと考えても良いだろう。科学の中で常識となってしまった事項について根幹から考え直すと言うことは、多くの場合時間の浪費にしかつながらない。そんなことをする暇は、いまの研究者には無い。科学の研究という魂の自由を謳歌すべき分野に、業績主義という世間の風が吹き込んできたからである。

 役に立つ、世界をリードする。お金儲けに繋がることを前提に、ああすればこうなる、こうすればああなると云うような、帰納と演繹の線上に乗るような研究が面白いとは思えない。勿論やっていれば、その線上から外れるデータが得られ、それが次のブレイクスルーの端緒となる可能性があるとはいうものの、金儲け思考の枠組みは変わらない。こんな事ばかり考えているから貧しい研究室しか維持できなかったのだろう。

 ああまた「書けん費」ではなかった「科研費」を批判してしまった。書いている本人が科研費に恨みでも持っているのかなと思われそうだが、そうではない。そうした研究がある事も否定はしない。ただ若い研究者達に、そうした枠に縛られない自由な研究を味わって欲しいという時代錯誤の願いを持っているだけである。

 それはそうとして、生化学の世界にはいくつかのかなり硬いドグマがある。よく知られているのは、フランシス・クリックが1958年に提唱したセントラルドグマと呼ばれるもので、遺伝情報はDNA‥‥>RNA‥‥>タンパク質へと流れるというものである。例外のない規則はないという言葉の通り、このドグマはRNA‥‥>DNAと云う逆転写と呼ばれる例外の存在の発見によって半分崩壊した。タンパク質からRNAへという逆翻訳は現在のところまだ見つかっていない。見つかっていないという表現はあることを前提にしたような書き方になるので、あるかどうか分からないとするのが妥当かな。スクレイピーやクロイツフェルト・ヤコブ病の感染因子であるプリオンが、大きな関心を持って研究されたのも、ここに原因があった。

 いまひとつのドグマ−ドグマには教義 ・ 教理 ・ 教条 ・ 主義 ・ 信条 ・ イデオロギーなどの訳が存在するが、ここではドグマをそのまま使った方が良いだろう−は、解糖系とTCA回路を、エネルギー獲得を中心にして規定する見方である。解糖系とTCA回路のいくつかの化合物が代謝中間体として重要であることは、考慮されてるにしてもだ。現代生化学の標準的解釈をまず提示したい。いつも通りKEGGから少し引用しよう。

Glycolysis / Gluconeogenesis

 Glycolysis is the process of converting glucose into pyruvate and generating small amounts of ATP (energy) and NADH (reducing power). It is a central pathway that produces important precursor metabolites: six-carbon compounds of glucose-6P and fructose-6P and three-carbon compounds of glycerone-P, glyceraldehyde-3P, glycerate-3P, phosphoenolpyruvate, and pyruvate. Acetyl-CoA, another important precursor metabolite, is produced by oxidative decarboxylation of pyruvate. When the enzyme genes of this pathway are examined in completely sequenced genomes, the reaction steps of three-carbon compounds from glycerone-P to pyruvate form a conserved core module, which is found in almost all organisms and which sometimes contains operon structures in bacterial genomes. Gluconeogenesis is a synthesis pathway of glucose from noncarbohydrate precursors. It is essentially a reversal of glycolysis with minor variations of alternative paths.

 和訳: グリコリシスはグルコースをピルビン酸に変換するプロセスであり、少量のATP(エネルギー)とNADH(還元力)を生成する。それは重要な代謝前駆体群:6炭素化合物であるグルコース-6-リン酸とフルクトース-6-リン酸、及び3-炭素化合物であるグリセロン-リン酸、グリセルアルデヒド-3-リン酸、3-ホスホグリセリン酸、ホスホエノールピルビン酸、そしてピルビン酸を生産する中心系路である。もう一つの重要な代謝前駆体であるアセチルCoAは、ピルビン酸の酸化的脱炭酸反応により生産される。完全に解読されたゲノムにおいて、この系路の酵素遺伝子群が検討すると、3炭素化合物であるグリセロンリン酸からピルビン酸への反応段階が、ほぼ全ての生物において見いだされ、バクテリアゲノム中でオペロン構造を含んでいる場合もある保存されたコアモジュールを形成している。グリコジェネシスは糖ではない前駆体からグルコースを合成する系路である。それは本質的には、一寸した変異を含む代替え系路を持つグリコリシスの逆反応である。

Citrate cycle (TCA cycle)

 The citrate cycle (TCA cycle, Krebs cycle) is an important aerobic pathway for the final steps of the oxidation of carbohydrates and fatty acids. The cycle starts with acetyl-CoA, the activated form of acetate, derived from glycolysis and pyruvate oxidation for carbohydrates and from beta oxidation of fatty acids. The two-carbon acetyl group in acetyl-CoA is transferred to the four-carbon compound of oxaloacetate to form the six-carbon compound of citrate. In a series of reactions two carbons in citrate are oxidized to CO2 and the reaction pathway supplies NADH for use in the oxidative phosphorylation and other metabolic processes. The pathway also supplies important precursor metabolites including 2-oxoglutarate. At the end of the cycle the remaining four-carbon part is transformed back to oxaloacetate. According to the genome sequence data, many organisms seem to lack genes for the full cycle, but contain genes for specific segments.

 和訳:クエン酸サイクル(TCA回路、クレブス回路)は、炭水化物と脂肪酸の酸化の最終的なステップで使われる重要な好気的経路である。 この回路は、酢酸の活性化された形であり、炭水化物の解糖とその産物であるピルビン酸の酸化、そして脂肪酸のβ酸化で得られるアセチルCoAから出発する。アセチルCoAに含まれる2炭素のアセチル基は4炭素化合物であるオギザロ酢酸ヘ移され、6炭素化合物であるクエン酸を形成する。一連の反応において、クエン酸中の2つの炭素はCO2に酸化される、そして、その反応経路は酸化的リン酸化及びその他の代謝プロセスで使用されるNADHを供給する。その経路はまた、2-オキソグルタル酸を含む重要な代謝前駆体を供給する。この回路の最後では、残った4炭素部分は再度オギザロ酢酸へと変換される。ゲノム配列データによれば、多くの生物が完全な回路のための遺伝子を欠いているように思えるが、特定のセグメントに対する遺伝子を含んでいるようだ。

 たどたどしい訳だが、できるだけ原文に即して逐語訳をしてみた。これらの文章を読んで、何を感じるかが今後の問題となる。それが、「2つの大きな問題を提起するに違いない一文」に繋がるわけである。

過剰と蕩尽 14 に続く

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