マダニ

 TCA サイクルの話は終わったのか・・・7 においては、マダニの嫌らしさが全開だった。このマダニ、中山間地のみならず都会の周辺でも大きな問題になりそうだ。

 マダニか、嫌ですね。里山から山里へのイノシシ、シカ、サル、ハクビシンなどの侵入が酷い。獣害に耐えかねて農地を放棄する人が増えている。さらにこれらの動物が農作物の被害を引き起こすだけではなく、マダニを人里にばらまいている実態がある。日本紅斑熱、Q熱、ライム病、回帰熱、ダニ媒介性脳炎、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、など、命にかかわる危険な病気を媒介するしキャンプや山歩きなどで感染する人も散見される。困ったことにマダニには農薬である殺ダニ剤がほとんど効かない。誰がとか何処でとかいう話は抜きにして、かなり高濃度の旧来の殺虫剤の散布をしていると云う噂を聞くことがある。

 獣害に耐えかねて狼を復活させようと云う計画が、真剣に議論され始めている。勿論、反対論は強いのだが、狼を導入しようと云う計画がなされるほどにイノシシとシカの被害が酷いと云う実態が先にあるわけだ。撃ってジビエにしろと云う意見もあるが、そもそも人家の庭に現れたイノシシやサルは撃てない。人家のある所での発砲は法律で禁止である。射線を上に向けての射撃も禁止である。猟期が決まっていて年中撃てるわけではない。猟をする人の年齢が上がるだけではなく若者の参入も少ないため、猟友会の会員は激減している。狩猟に使うライフルを持つためのハードルは異常に高い。イノシシやシカに対して取得しやすいエアライフルでも撃てると云う人がいるが、止め打ち、つまり罠にかかった動物を撃つには使えても狩猟用には無理である。散弾銃の場合は小さな銃弾が体内に散らばっているため、肉に血液が残り臭みが強く残ることが多い。とにかく狩猟では生活が成り立たない。ジビエ、ジビエという人がいるがさほど売れるものでもない。

 行政はフェンスや電柵に補助金を出してはいるのだが、設置はしてくれない。水田にフェンスを張りそれを維持するには途轍もない労力が必要だ。その後の農作業も極めてやり難い。電柵の設置であればいくらか楽だが、下に生えた草が電線に接触すると漏電が起こって効果が低下する。夏季であれば10日おきに下草刈りが必要になる。除草剤?、草が枯れると保水力が落ち、畔が崩れやすくなる。バスタなどそんな事を起こさないことを売りにしている薬もあるが、やはり崩れやすくなるのは否定できない。急斜面であるほど畔や法面の崩壊可能性が高まるわけだ。

 あまり知られてないが、イノシシ猟はかなり危険である。瓜坊を見て可愛いなどと近寄ってはならない。日本に生息する猪は、体長でオスなら140cm前後、メスなら125cmとなり、肩高は60cmから90cm、体重は80kgから190kg、大きいものでは体調160cm、体重200Kgを越す個体もいる。可哀そうに猟犬はいつも怪我をしている。保険がないため治療費は思った以上に高い。さらに撃ったシカやイノシシの解体ができるかどうか。死んだ動物からは、多数のダニやノミなどの寄生虫がワラワラと這い出してくる。まあバーナーで焼けばいいのだが。解体後の内臓や骨などを処理するのも狩りをした人に委ねられている。狩猟用の高価な車も必要である。猟銃はとても高い。安物の銃では命にかかわる。道路に出たイノシシを撥ねてとった人の話では、肉の値段より車の修理費の方が遙かに高かったそうだ。

 狼の復活もロマンがあって良いなと思わないでもないが、世論が許さないに違いない。感傷的な動物愛護論が蔓延しているからである。現実的な案として里山に近い集落では柴犬、紀州犬、ビーグル犬などの中型犬を夜間に放す事を認めたらどうだろう。イヌの放し飼いが里山において禁止されたことが、イノシシなどの住宅地への侵入の一因であると考えている。都会のマンションでチワワやトイプードルを飼うための法律と、山間地で柴犬、紀州犬、ビーグル犬などの中型犬を飼う法律が同じであるのは理解できない。勿論大型犬は除かないと理解は得られないだろう。

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