いやはや、連休を過ぎてから忙しいことこの上ない。この時期、水田用潅漑水路の3種類の草刈り、道路愛護(簡単に聞こえるが近くを流れる川の中にはえている葦の切り払いを含む)、田植え前の田起こし、ナス、トウガラシ、サトイモ、サツマイモ、ソルゴー、エゴマ、などなどの植え付け、タマネギ、ジャガイモ、ジャンボニンニクの収穫、クワの菌核病防除とクワキジラミ防除、カキの防除、各農地の周辺の草刈りなどなど、ネコでもイヌでもイノシシでも良い、手を貸してもらいたいほどの毎日である。
柄にもなく民生委員と児童委員を仰せつかっている。コロナウイルス感染症のせいで小学校と中学校の運動会への出席が免除された。これが良いことか悪いことか一概には言えないが、この忙しさを考えると少しだけ有り難いと感じた。さらに、区の会計と書記、さらに町内の隣組長も兼任している。今まで出納帳など付けたことどころか持ったこともない人間が、会計を受け持つなど悪夢である。銀行なんて年に数回しか行かなかった人間が、今では月に4〜5回は出かけている。一種の拷問である。
桑の実が最盛期を過ぎようとしているのだが、とても採り切れない。このブログを読んでいる方で興味のある方は御来園下さい。栽培を始めて7年ほど経つのだが、ようやく育て方がわかってきた。ノウハウを会得したと言ってよいだろう。実はこの2年、収穫はほぼなかった。理由は菌核病(キツネノヤリタケ、キツネノワンタケ)とクワキジラミによる被害を回避できなかったためである。桑の栽培自体をやめようかとも思ったのだが、それはそれでいくぶん悔しいので、今年は違う角度からの防除法を試してみた。それがよかったらしく、枝が折れるほどの豊作なのだが、そんなに採れることを予想していなかったので、販売先の開拓をしていなかった。いくつかのグループの方々が桑の実採集ツアーに来られたくらいである。毎日、採集してはフリーザーに保存することを続けているが、そろそろフリーザーも満杯である。
観光果樹園として宣伝すれば客は来ると思うのだが、マスコミに乗せることには躊躇いがある。ラジオでもTVでも、オンエアーされた直後に沢山の客が押し寄せる。そうすると、駐車場、休息所、トイレ、入園料の徴収と持ち帰り果実の販売所など、様々なインフラと対応する人が必要になる。そんな観光業のコーディネート能力が私にあるはずもなく困惑の中で溺れている。本音の所そんなことはしたくない、観光という業種をあまり好きではないのである。つまらない個人の好き嫌いに過ぎないのだから、他の方々がそれをすることを非難も批判もする気はない。何故嫌いかって?まあ色々理由はあるが、サービス業が不得意だというのが1つの大きな理由かな。要するに我が侭を云っているにすぎない。私の生き方に興味のある方々、少しでも意識の共有が出来る人達とノンビリやりたいと考えている。
でもそうすると果実が過熟してしまい腐敗し始める。その香りが大好きなショウジョウバエ(猩猩蝿)が大量発生を始めるのである。クワには適用のある殺虫剤がないため、そうなったらお手上げ、諦めるしかない。過熟になる前に適切に採果することが必要なのだが、これが実に難しい。毎年季節の進み方が違う、日照が違う、冬場の気温が違う、雨量も違うなど、熟期を見定めるのも難しい。そうするとパートの人を雇うのもかなり難しそうである。さらにこの季節、ブドウの剪定、カキの摘果、ナシの摘果が重なるため、パートの人を見つけるのも困難だ。
さらに入園料と持ち帰り果実の価格設定の問題もある。毎年来る人から、余っているから只でいいよと云われても、それでは次回が来難くなる。そこをはっきりしなさいと、アドバイスを受けた。これは確かだ。立場を入れ替えた場合、何か持って行かねばと悩むに違いないだろう。贈与論の世界だな。そういうわけで、近所のブルーベリー園やイチゴ園などの料金を参考にして、入園料800円、持ち帰り1 Kg 1000円、2 Kg 以上の持ち帰りであれば、2 Kgを超えた分 の半量をおいていけば無料と決めた。
それはまあ良いのだが、実際にやってみると問題が残るのである。仕方のないことだが、慣れない人は採るのが下手で果実を潰してしまうのである。潰した果実では、すぐに酵母が働いて醗酵を始まる。カビも急速に増殖する。良い香りになれば醗酵、いやな臭いあるいは見た目になれば、腐敗と呼ぶ。遠方からきた人であれば、帰宅した時点でカビが生えているに違いない。この問題は、70%エタノール噴霧剤(パストリーゼ)という製品を使うことで改善できるようだが、2 Kgオーバーで半分貰った果実は往々にしてすぐに腐るのである。それなら無料で差し上げたほうがまだましだと思える場面がほとんどである。
愚痴っているわけではない。明るくぼやいている。近頃美味しい食べ方を見つけた。桑の実は、果実と云うより野菜に近い気がする。それもかなり異質な野菜である。どうやって食べるか?砂糖を加えて焼酎(あるいは薄めたホワイトリカー)と煮るのである。 砂糖の量は好みに合わせて加減すれば良い。どれくらい煮るか、それもまた好みなのだが、煮えた果実が結構いける。この果実を液から取り出し、少し乾かしグラニュー糖でまぶしても良い。液体部分は(炭酸で)割って飲むと良い。この目的のためには、熟した果実よりまだ赤い未熟の果実のほうが適している。信じられないような牡丹色を楽しめる。勿論、そのままホワイトリカーに漬けると一年中楽しめる。https://kotonohaweb.net/japan-color/2/