歴史認識・・・今何が起こっているのかなどという立派な文章が書けるかといえば、まず書けないというのが実感である。何しろ情報量が少な過ぎる。情報を集めてくれるスタッフがいるわけもないし、議論に乗ってくれる暇人などいるはずもない。いくつかの国内外の新聞の見出しを眺め、興味のあるテーマについては Deepl 翻訳も使って記事を読む。さらに、右から左までいくつかの読む価値のありそうなブログにも目を通しながら、自分なりの視座から納得のいく理解を求めている。
色々考えているのだが、どうにも理解できずにいた事実がある。私は1970年頃に大学での学生生活を送っていたことで、マルクス主義にも触れる機会があった。就職してからも労働組合の方々からの勧誘があった。土曜日ごとの勉強会に来ないかというお誘いであった。マルクスの資本論を読んでみないかと云われて読み始めたが、四分の一も行かないうちに止めてしまった。何となく肌に合わない、内容について少しばかり理解したような気がしても腑に落ちないのである。その理由がわからなかった。いまになって考えれば、人の持つ欲に対する認識が私の認識と違っていただけでなく、マルクス主義が持つ啓示宗教的な臭いに違和感を感じていたようだ。
共産主義、話を聞くと良さそうに聞こえる。「皆平等、皆同じ、だから皆で頑張ればみんな幸せに暮らせるよ」という。具体的にはどうなるのか。国民の財産は全て国家の所有物で私有物はない、必要なものは配給される、全ての職業も国営になる。従って、私有という概念はなく、国民全員が国家公務で賃金は一律固定給だという。でも、当時のソ連を見ればそうなっていないじゃないかと反論すると、いまは過渡期だと云う答えを貰った。プロレタリア独裁制を通って共産制に向かうのだそうだ。そんなプリミティブな理解で論を進められては困ると言う方が居られると思うが、専門的なところに入ると大筋が見えなくなる場合が多い。本当に重要な問題は入り口の所にあるのが常である。あっ、この言葉、自分の蘊蓄ブログへの批判にもなりそうだ。でも、続けます。
僕は断捨離が嫌いです。すぐに使わなくても、役に立たなくても、色々なものに記憶の欠片が残っている。それが人生を豊かなものにすると感じているからだ。所謂、穢れという考え方に通じるものである。日本においては、長年使い込んだ道具には魂が宿るという考え方が存在する。そうした魂、あるいは精霊と日々交流しながら暮らす、それで良いではないか。それがある人間の生きた歴史ではないか。勿論、何時までも残せと言うつもりはない。その人が亡くなったあと、次の世代が断捨離をすればよい。子供や周りの人達に迷惑をかけないようになどと、死んだ後まで状況を管理しようとする精神は、違う意味において傲慢であると思わないのだろうか。
そこで問題になるのだが、当面不要なものであっても所有しておくという楽しみは、共産主義の世界にあるのだろうか。当時、共産主義に対して大きな疑問が2つあった。一つは人は所有欲を制御できるかという問題である。子供を見ていればよくわかるのだが、「これ僕の」、「これ私の」と、あるゆる物に対する奪い合いで、一日中喧嘩している。この所有欲を教育で消せるものだろうかと疑ったのである。教育を含めていまは過渡期だと云う説明があったものの、彼の国では労働貴族が一世を風靡していた。労働貴族達は、国民に対して物に対する所有欲を禁じながら、彼らは権力欲の虜になっているように見えたからである。
いま一つの疑問、いや疑問というより違和感は、啓示宗教的な臭いにあったようだ。いわゆる活動家と称される人々の持つ「我々が正しい、我々が教育してあげる、信じてついてきなさい、違議は認めない」という風柄に反発したのである。当時、私は「歎異抄」や「臨済録」、そして『鈴木大拙全集』(全32巻、1968-71年、復刊1980-83年)を読み続けていた頃だった(殆ど理解してはいなかったのは間違いない)。仏教にも戒律はある。だが同時に、その戒律を易々と超えて行く溌剌とした自由な精神活動がある事に心酔していた私にとって、一神教的啓示は受け入れ難かったのである。
話を戻そう。バブーフやブランキは、平等社会を目指しての暴力革命を主張した。マルクス主義では、資本主義の発展により矛盾が増大すると、労働者による社会革命(社会主義革命、共産主義革命)が発生し、プロレタリア独裁の段階を経由して、市場・貨幣・賃金労働などが廃絶された新しい無階級社会である共産主義社会が生まれ、階級抑圧の機構としての国家・軍隊・戦争なども消滅するとした。
そんなことは少し横において、アメリカの民主党、ジョージ・ソロス、ヘンリー・キッシンジャーなどの支援の下にクラウス・シュラブが世界経済フォーラムを立ち上げたのは1971年である。いまの世界においてグローバリゼーションを推進している最も大きな影響力を持つ私的国際機関といって良いのだが、このWEFが現在の世界的混乱を引き起こしているとうに見える。彼らのアジェンダ、「WEFが掲げる2030年までに起こそうとしている『グレートリセット・新世界秩序』」について、クラウス・シュラブは以下のような内容を述べている。
① 人々は何も所有しない。しかし、それでも人々は幸せである。必要な 物品は無料で支給されるか、あるいは国から貸与される。
② アメリカはもはや主要な超大国ではなくなり、そのかわりに少数の国が支配するだろう。
③ 人々は、臓器提供を待って死ぬことはなくなる。臓器は移植されずに3Dプリンターで印刷され供給される。
④ 人々は、動物性タンパク質(肉)を食べなくなる。それは環境と健康のためである。肉の消費は最小限にまで抑制される。
⑤ 気候変動による人々の大規模な移動により数十億人の難民が発生するため、あなたたちは難民を受け入れて、同一化しなければならない。
⑥ 二酸化炭素を放出する化石燃料を使った場合は、炭素税を支払わなければならない。従って物の価格は世界的に法外なレベルに設定される。
⑦ 宇宙で健康を維持する研究が進んでいるため火星に行ける日も近いからも知れない。
⑧ 西側世界の価値は限界点まで極限まで試され続けるであろう。
疑問だらけである。① はそのまま共産主義の到達点を意味している。自由を最高の価値とし資本主義の最前線にいたはずのアメリカ合衆国の民主党が、いまこの目的に向かって旗を振っている。理解不能 ② についてもアメリカ合衆国の国民の願いとは異なると思う。現在の政策を続けるとすれば、近いうちに終わりのない内乱が発生すると予想しているが、アメリカ没落後に世界を支配する少数の国とはどこなのだろう。 ③ 臓器移植には未だに反対の立場にいるので、コメントする気にもならない。全脳死、脳幹死、植物状態、深昏睡の区別さえつかない人々が、これまた難解で矛盾だらけの脳死判定基準を認めているのだから、いつも少数派としては遠くから眺めるしかない状況だ。免疫反応、所謂拒否反応を軽視した上に3Dプリンターで印刷、できるようになってから言ってくれ。 ④ 環境保護のためというお題目がつくのだろうが、これを決めた人達は、いまと変わりなく牛肉を食べ続けると思われる。皆様はコオロギ煎餅をどうぞということだろう。でも、コオロギの餌はどうするのだろう? ⑤ そうしたことが起こるのを防止するための提言はないのか。移民は往々にして受け入れた国家を混乱させ破滅へと導く。それが目的かもしれないが。⑥ 本当かどうかわからない温暖化防止策の行き着く先は、グリーンファシズムとなりそうです。予想だが、第2のグレタ嬢が出現するのではないか。 ⑦ 確実に誰もが行けるようになってから議論してくれ。それよりも、多数の人間を火星に送るのに必要なエネルギー、発生する膨大な量の二酸化炭素は許容するのか。 ⑧ 極限まで試される西側世界の価値とは、どうやら自由と民主主義を意味しているらしい。極限まで試すとは極限まで否定すると読めそうだ。
などと、つらつら考えていたのだが、突然気付いた。マルクスは、社会が進化を続け資本主義社会での矛盾が極限まで深まると労働者による革命が起こり、最終的な到達段階である「共産主義社会」に移行するとしていたのだが、それは間違っているに違いない。資本主義の矛盾が沸点に達しようとしている現在、世界中の富と情報と技術と権力を手にしている1%の人々が、それらを永久に保持し続けるために残りの99%に対する逆革命を試みていると考えれば、いま起こっている多くの事柄をすんなり理解できることに気付いたわけである。この革命が成功すると、情報技術が進んでいるが故に、ジョージ・オーウェル書くところの「1984」の世界が現出するだろう。いやだな!!
少し調べていたら、クラウス・シュラブについて新しい情報を見つけた。WEFのトップを続けている人であり、その後にいる人々やダボス会議での指針的なものを読んで、少なくとも資本主義の権化である人物だと考えていたのだが、そこが早とちりであった。改めて気付いたことは、クラウス・シュラブたちは技術の進歩を基盤とした全体主義を指向していたとしか思えない。そう考えると①〜⑧のアジェンダが納得できる。誤解されては困るのだが、納得できることと、賛成できるということは同じではない。あなたがそういう基盤に立って考えれば、そのような結論に達するのは当然でしょう。しかし、私は依って立つ基盤が違うのだから別の結論を持っていますという事である。
クラウス・シュラブという人物の思想的背景に誰がいるのか、偶々ウェッブ上で彷徨っていたら、クラウス・シュラブの父親がオイゲン・ヴィルヘルム・シュワブという人物で、ラーベンスブルクにあったエッシャー・ワイス社の取締役だったのでる。そしてそのエッシャー・ワイス社は、第三帝国の軍産複合体における重要性からヒトラーの特別後援を受け、「国家社会主義の模範企業」という名誉称号を授与された企業である。さらに、ラーベンスブルクという町は「役に立たない食べる人」を殺す優生学主義を実践したことで有名な町である。以下、参照して下さい。
http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68874593.html
https://note.com/kirin_maho02/n/n94e3278b50ba
まあそういうことで、ナチスドイツの全体主義、優生学的の影響を受けている人であるとすれば、WEFが向かっている方向が理解できるということである。さらに、ウクライナにおける戦争について、クラウス・シュラブが主催するダボス会議がネオナチであるアゾフ大隊を擁するウクライナに肩入れする意見であふれ返る現象についても納得である。そしてそのダボス会議には以下の人々が参加している。
田中 明彦 独立行政法人国際協力機構(JICA)理事長 日本
有竹 一智 取締役 副社長執行役員 サントリーホールディングス株式会社 日本
アンドリュー・バー 日立製作所 グループCEO 日本
サミ・ベン・ジャマー 株式会社グローバルJERA 常務執行役員 日本
ロリーナ・デラギオバンナ 日立製作所 執行役副社長 日本
江田 麻季子 日本代表執行役 世界経済フォーラム 日本代表 日本
ナイジェル・フラッド 株式会社損害保険ジャパン 代表取締役副社長 日本
藤井 明夫 日本経済新聞社 編集委員会委員長 日本
藤井 輝夫 東京大学総長 日本
古田 秀則 富士通株式会社 代表取締役社長
後藤 雅宏 野村證券株式会社 代表取締役副社長 代表取締役副社長
長谷川 祐樹 読売新聞社 東北総局長
橋本 剛 株式会社商船三井 代表取締役社長 日本
林 達也 ユニゾン・キャピタル株式会社 パートナー 日本
東 憲司 株式会社スパイバー 代表取締役副社長 日本
平井 康照 三菱商事株式会社 取締役兼執行役員 日本
本澤 泰 江崎グリコ株式会社 代表取締役社長 日本
堀 義人 グロービス株式会社 代表取締役社長 日本
兵頭 誠之 取締役兼社長 住友商事株式会社 日本
出木場 久之 株式会社リクルートホールディングス 代表取締役社長 日本
石合 勉 朝日新聞社 編集委員 日本
石黒 憲彦 日本電気株式会社 代表取締役 副社長執行役員
石井 直子 三菱化学株式会社 特別研究員 日本
アトカ・ジョー 横浜ハブ株式会社 グローバルシェイパー
神部 治朗 ソニーグループ株式会社 代表取締役副社長 日本
川崎達男氏 ユニゾン・キャピタル株式会社 代表取締役共同創業者 日本
木下 泰 (株)日本政策投資銀行 取締役会長 日本
ブライス・コッチ 日立製作所 社長兼CEO 日本
国谷 裕子 朝日新聞社 常務取締役 サステナブル担当
松本 秀和 SGホールディングス株式会社 代表取締役社長 日本
松本紹圭 未来仏教研究所僧侶
三部 俊宏 取締役 兼 本田技研工業株式会社 代表取締役社長 日本
宮永 俊一 三菱重工業(株)代表取締役会長 日本
宮田 浩彦 三井物産株式会社専務執行役員 日本
森田 孝紀 執行役員、伊藤忠商事(株)代表取締役社長 日本
森田 孝行 日本電気株式会社 代表取締役社長執行役員
中濱 文孝 常務執行役員 MUFG Bank Ltd 日本
新浪 剛史 サントリーホールディングス株式会社 代表取締役社長 日本
西村 博之 日本経済新聞社 編集委員・コメンテーター 日本
奥村幹雄 株式会社損害保険ジャパン 代表取締役社長 日本
小野真紀子 サントリーホールディングス株式会社 常務執行役員 チーフ 日本
斉藤 和義 サントリービバレッジ・アンド・フード株式会社 代表取締役社長 日本
佐々木 伸彦 日本貿易振興機構(ジェトロ) 日本担当役員
笹沼 泰助 代表パートナー アドバンテッジパートナーズ株式会社 代表取締役社長
瀬名波 綾乃 COO マネージング・リクルート・ホールディングス株式会社 最高執行責任者
嶋 良彦 東京海上ホールディングス株式会社 常務執行役員
須田 義人 サントリーホールディングス株式会社 代表取締役専務執行役員 日本
常務執行役員 杉本 憲文 株式会社日本政策投資銀行 執行役員 日本
田畑 雄一 欧州総局長 NHK 日本
竹中 平蔵 慶應義塾大学名誉教授 日本
田代 圭子 ㈱大和証券グループ本社 執行役副社長 日本
時田 孝仁 富士通株式会社 代表取締役社長 日本
角田 達也 常務執行役員 株式会社JERA 日本
安永竜夫 三井物産株式会社取締役会長 日本
吉田憲一郎 ソニーグループ株式会社 代表取締役会長 社長執行役員 日本
世の中で「ダボス会議ではね」などというと、陰謀論者と言うハンコを捺されがちだが、そういう発言をする人のほうが情報弱者であるのかもしれないな。厚生労働省のホームページに載っているムーンショット計画、何のために誰が乗せたか理解不能だったのだが、上記の現実を基盤において読み直すと通底するものが見えてくるようだ。