ホルツハウゼン

 今年になって10日が経った。そろそろブログのアップをと思っているのだが、一旦中断したものを再び立ち上げるのは結構エネルギーが要る事に改めて気付いてしまった。継続は力というがその通りである。

 そうは言うものの特別怠惰に暮らしている訳ではない。毎日、近所の果樹園から貰ってきた剪定枝や切り倒した要らない樹木をひたすら集め、数年先の冬に向けた薪を作っている。本と本棚までは買う事が出来るが、本を収納しておく書斎までは作る余裕がないのと同じ事で、集めた木材から薪を作る所までは何とかやれるが薪を収納しておく薪棚と薪小屋にまでは手が届かない。薪棚は就農直後に頑張って大きなもの一つを作ってもらい、小型のもの四つを自作した。この五つの薪棚で収納できる薪は一年半分程度である。今年は早めにある程度の薪を手に入れたため、満杯の状態にある。問題は、残りの薪をどう保存するかだ。

 とにかく保存すべき薪はあるのだが収納場所がないという状況に陥った。まあ放り投げて積んでおくだけのバラ積みであれば、出来ない事はないのだが場所をとるし美しくない。古来、日本には井桁積みと呼ばれるやり方があった。これを何列か横に並べればなんとかなりそうだがやって見ると上手くいかない。だからといって、新たに薪棚を作るとなれば、出費だけでなく製作にかなりな時間をとられてしまう。さらに農機具小屋の内部に作ると、薪に機械類が追い出されて野ざらしになる。ということで、薪をうまく野積みするやり方について調べていたのである。

 ホルツハウゼンと呼ばれる薪の積み方がある。日本ではスイス積みと呼ばれる場合が多いようだが、デンマークやノルウェーで行われている場合が多いそうだ。ではなぜスイス積みと云われるのか理由は知らない。ただ、形を見てこれなら何とかいけるかもしれないと判断した。しかし問題が2つある。1つは乾燥が上手くいくかどうかと云う問題である。スイスやベルギーに比べ、この地方の降水量ははるかに多い。特に薪の上面を如何に処理すれば良いのか、作りながら考える事にする。2つ目の問題は薪の形にある。YouTubeで薪の積み方で検索して見てもらえば明らかなのだが、アップしてある映像で使われているのは形が揃った立派な薪である。広葉樹である白樺・楢・桜や樫、あるいは針葉樹である杉・檜・松など、原木を一定の長さに切り揃えて割ったものである。そうした大きさと長さの揃った薪であれば積むのは簡単、ホルツハウゼンなどと云う必要はなく、どうにでも積む事が出来る。

スイス積み 使っている薪割り機は私のものとほとんど同じ

 しかしながら、私の持っている薪は長さは40cm以下でバラバラ、割れ方も統一性を欠く個性豊かな薪である。それは好意で譲ってもらった剪定枝が原料であるから仕方がない。この個性豊かな薪を、ある程度の統一性を持たせながら積み上げるとすればホルツハウゼンにするしかないと判断したわけである。外側の円形の壁さえ丈夫に組めれば、内側にはいろんな形の薪を自由に入れられる。そして、その内側の薪がもたれ掛かる外側の薪を支える構造である。近所の知り合いからパレット2枚を借用し、15cmの厚みのブロック12枚と10cm角のブロック10枚を使って基礎を作り、見様見まねで作り始めた。

 作るホルツハウゼン、直系は2m,高さは2.5mを予定している。体積は約8㎥となる。昨日、霰の降る天気だったが、薪を軽トラに満載して3度運び込んだ。何とか円形の外周を作り、内側に不揃いな薪を積んで行ったのだが、途中でパレット上に置いた薪が滑り外側に膨れ始めた。摩擦が小さく内側から押し出す力に負けているらしい。杭を打ってこの滑りを止めるか、予定の高さを少し抑えるか思案中である。この積み方、いまひとつの名称が蜂の巣積みと云うらしい、確かにアシナガバチの巣が沢山作られそうな雰囲気である。今日、軽トラ一杯の原木の玉切りを終わらせた。明日割った後で積みに行く予定であるが、その時の写真を載せる事にしよう。

 新春とはいえ春は遠そうだ。外では鹿が鳴いている。今日から寒くなると云う予報が出ている。風邪に注意。

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