代掻き終了

 数日前荒代掻きをした。キャビン付きのトラクターを使って3時間弱、まあ少しはトラクターの取り回しに慣れてきたという所である。還暦を過ぎて初めてトラクターに乗った。世の中の殆どの人と同じように、トラクターとは乗って耕せばいいと思っていた。ところが、ノンビリと耕しているように見えるトラクター、見た目とは違って細やかな気配りと高度な技術そして数学的才能を必要とする。私のトラクターヤンマー製の23馬力のキャビン付きのもので、一応エアコン付きである。主変速は前進3速後進1速、その各ギアに4段階のギアがある。ハンドアクセルもついている。簡単に言えば前進12速後進4速で足と手に合わせたスロットルがあるいうことになる。そこに、ロータリーの回転速度が1〜3速と逆転1速がつく。これに加えてローターに上げ下げと位置調整、前部バスケットの上げ下げとすくいと持ち上げ、ローターの水平調節、倍速ターン、バック時の自動ロータ上昇スイッチ、などなど、もちろん車と同じく前照灯のスイッチ、ワイパースイッチ、戻りのない方向指示器、ラジオのスイッチなどもついている。まだ使い方の分からないものがいくつかある。

 私も自分が乗るまでは全く知らなかったのだが、トラクターで作業をする場合曲がってはいけないというのが基本である。もちろん曲がらないと往復できないのだから、曲がるには曲がるのだが、その際ロータリーを下ろしていたら土をえぐって凄まじいことになる。慣れない時にこれをやって、土を元に戻すのにスコップとクワで奮闘した記憶がある。さらに、耕耘の初めにロータリーを下ろす時は後ろに土の山が出来るし、上げる時には溝が出来る。ロータリーの上げ下げをうまくできるようになるにはかなりな経験が必要なのである。こうして出来た土の山を元に戻すには、ローターを順回転にしてバックするとか、逆回転にして前に引っ張るとか色々な技術があるのだが、まずローターを目的とする土の上に置きながら動作をさせる必要がある。なんとも奥が深い。近所にトラクター乗りがすごく巧いというという人がいる。彼が耕しているのを見つけたら、必ず軽トラを止めて観察することにしているのだが、なかなか上達しない。

 前荒代掻きから3日目に代掻きをした。私の田は粘土質で一つ間違うとトラクターが動かなくなる。今年は、安全な部分を先に述べたトラクターを使い、周辺のやりにくい部分は小型のトラクターを使った。それでも悪戦苦闘したのだが、やっていると田んぼの中にスッポンがいた。これは困る。トラクターで走ればまず間違いなく殺してしまいそうだ。何も知らずにそうなったのなら諦めが付くが、知った上で殺したスッポンの死体を見ながら田植えなんてやりたくない。ドブドブの泥の中を潜って逃げるヤツを孟宗竹を使って掘り起こし、少しずつ誘導しながら畔に追い上げ、横を流れている川に逃がしてやった。一時間くらいかかった。スッポンも疲れたと思うが、ドロドロの土の中をサイズの合わない長靴を履いて奮闘したこっちも疲労困憊である。夕刻7時頃に代掻き終了、1〜2日置いて土が落ち着いたら田植えである。暑くならなければいいのだが、数日晴れが続きそうである。

 新型コロナとワクチン擬の話ばかり書いてきたが、イギリスの英国航空ではワクチンを打ったパイロットが5人亡くなったと聞く。デルタ航空でも3人が亡くなったそうだ。アメリカン航空でも従業員の病欠で土曜日は123便、日曜日は178便が欠航し、6月中は少なくとも毎日50〜60便、7月も50〜80便がキャンセルし続ける可能性があるという。大丈夫かね。

 そんなことばかり考えていると気分が暗くなる。鬱々とした気分で生活すると、罹らなくても良い病気に罹りそうだ。少しリラックスしよう。懐かしいハーモニカの音でも聞くかな。

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