コロナワクチンはきっと迷走を始めるだろう

 新型コロナ感染症は、何度も云うようだがPCR検査が有効とか無効とか、発症者と感染者が混同されているとか、多種多様の雑多な意見があってなかなか収束しない。それはそうとして、この感染症の着地点を無理やりワクチン接種に持っていこうという意図だけは明確に見えてきたようだ。

 《「米ファイザーが日本へワクチン供与、来年6月末までに6000万人分」
https://jp.reuters.com/article/pfizer-japan-vaccine-idJPKCN24W1FH

[東京 31日 ロイター] – 厚生労働省は31日、米ファイザー社(PFE.N)が新型コロナウイルスのワクチン開発に成功した場合、来年6月末までに6000万人分のワクチン供給を受けることで同社と基本合意したと発表した。ロイター 2020/7/31より引用》

 昨日も、アストラゼネカと6000万人分のワクチンの供給を受ける報道があったばかりである。

 《ワクチン1億2千万回分を供給へ アストラゼネカと合意:新型コロナウイルスによる感染症の予防ワクチンについて、加藤勝信・厚生労働相は7日、英製薬大手アストラゼネカ社から日本国内向けに1億2千万回分の供給を受けることで基本合意したと発表した。開発が成功すれば、来年1~3月にまず3千万回分が供給されるという。

厚労省によると、ワクチンは原液を輸入するほか、国内メーカーに原液の製造を委託し、国内で供給するという。接種回数はまだ決まっていないが、1回か2回とみられ、仮に2回接種であれば6千万人分となる。 2020年8月7日 20時20分 朝日新聞デジタルより引用》

 本当に効果があって安全なワクチンであれば、その完成は早いに越したことはない。だが、いままでの経験からいって、ワクチンの効果の判定は難しいし、安全性の検定はもっと難しい。従来のワクチン開発は概ね10年程度の時間がかかっていた。それを1年に短縮するというわけである。どこかに無理は来ないか。いままではシーケンシャルに行っていた安全性の試験をパラレルに実施して時間を短縮する。それは可能であるかもしれないが、どこか不安である。ましてや、ワクチンのカテゴリーが違う。いま開発されているのは従来のワクチンとは違うメカニズムで働くワクチンである。全く違った形で現れる副作用の可能性を否定できない。《https://iyakutsushinsha.com/2020/07/03/新型コロナの特徴と治療薬・ワクチン開発の現状-2/ 参照》

 さらに、不安の原因はいわゆる開発過程だけにあるのではない。開発に携わる研究者にかかってくる圧力の問題である。一つは、失敗すれば社運に関わるほどの資金をつぎ込んでいるプロジェクトにおいて、科学的見地から冷静に駄目でしたと云えるかどうか。そこをなんとか出来ないかと云う圧力は凄まじいレベルになると思われる。いま一つの圧力は政治から来るものである。トランプは新型コロナワクチンの完成を政治的成果として大統領選挙に臨みたいとする態度がみえみえだし、日本においてもワクチンの接種によって新型コロナ感染症はアンダーコントロールであるとし、死に体のオリンピックを強行したいと考えているに違いない。開発に携わる研究者には、社運をかけたプロジェクトであるという圧力と、政治的理由からの強い圧力がかかってくることは間違いない。

 この懸念は空想ではない。ロイター通信によると英国アストラゼネカのルード・ドーバー副社長は「各国と締結した新型コロナウイルスのワクチン供給契約には、ワクチンの副作用が発生した場合、自社が責任を負わないという内容が含まれている」と明らかにした。アストラゼネカ社は思わざる副作用が出る可能性を十分に認識しているわけだ。しかし、少々疑問の残るワクチンでも、出荷すれば利益が得られ、問題が起こっても想定外のこととして責任を負わずに済むわけである。目の前にぶら下がった利益に対し、不正をすべきではないという企業倫理がどこまで有効なのか、歴史を振り返って判断すべきだろう。

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