トンボは学習するか?

 今日は暑い。強烈な日射と高い湿度、イヌを真似て口を開け呼気による廃熱を行うしか方法がなさそうだ。朝から、もう一つの田んぼ周りの草刈りに行った。刈り払い機は、スロットルの開け具合によるが、混合油満タンでおおよそ90分動く。1満タンが終わったところで後60mほど草が残った。暑くてもう刈れない。覚束ない足取りで帰ってきた。昨日も、草刈りで熱中症になりかけた。暑さに慣れていないなか、無理は効かなさそうだ。

 面白い現象がある。トラクターで田を起こすと、白鷺やカラスが集まってくる。トラクターに驚いて逃げる蛙を食べるためである。刈り払い機で草を刈るとナツアカネかアキアカネか区別はついていないが、多数のトンボが集まってくる。草から追い出された小さな虫を捕食するためのように見える。

 そこで考えた。鳥類学者はこれらサギやカラスの行動が何に由来すると説明するだろう。推測するに、学習と答えるだろう。鳥は目が良い。耳も良い。好奇心と呼ばれそうなものもある。記憶力もある。うるさい大きなトラクターが土を返していくと、カエルが飛び出す。これを経験として数度繰り返せば学習が成立する可能性は認めざるを得ないだろう。では、トンボの場合はどうだろう。複眼であるとは云え目は良さそうだ。虫を追尾する速さと飛翔能力は素晴らしい。耳はどうなんだろう。止まっているトンボの後ろで大声を出してみたが、知らん顔をしていた。いや、知らん顔をしていたように感じただけで、そもそもトンボの知らん顔がどんなものか知るはずもない。でも聞こえていないと決めることはできないだろう。食い物ではない動物の出す音には反応しなくても、食い物である小さな虫の羽音には反応する可能性が残っている。

 ガソリンエンジンを積んだ刈り払い機、これを使って草を切れば虫が飛び出す。この虫を食べにトンボが集まる。このエンジン音で虫が飛び出すという因果関係を、トンボが記憶して集まるというのであれば学習である。昆虫行動に学習を認めた研究例はいくつもあるのだが、野生のたくさんのトンボが学習を済ませていると考えて良いのだろうか。餌があるぞと興奮した個体が放出する集合フェロモンが原因であるという考えも成立するかもしれない。遠くで聞くエンジン音を虫の羽音として聞いてしまう可能性も捨てがたい。スロットルを開けたり閉めたりしながらトンボの動きを観察していたら、無茶苦茶暑くなってきた。夕立も来そうである。一時、撤退だ。

 ただ経験として云えることは、アブは三菱の軽トラのエンジン音に反応して寄ってくる。スバルのエンジン音にはさほどひかれていないようだ。ブヨも寄ってくるのだが、これはエンジンの廃熱を感じて集まっているように思える。エンジンを止めてしばらくすると、三々五々散っていく。もっとも高濃度の二酸化炭素に反応している可能性も残るだろう。ああ、草刈が進まない。お前は学習しないのか?自嘲の言葉である。

カテゴリー: 未分類 パーマリンク