豚と猪
今年の春に、12本アンズの苗木を植えた。苗木は結構高価であり、いつ元が取れるか分からない。とは言え、アンズはバラ科に属する樹木で、花は桜や梅に似てとても美しい。花を楽しめればいいかという気分が半分ほどある。実がなるのは2年後くらいからだろう。私は現代風の甘さを強調し酸味を抑えた果実の品種は余り好きではない。イチゴでいえばあまおう、イチジクでいえばとよみつひめ、リンゴではふじなどである。もちろんこれは個人的好き嫌いにすぎないので、そうじゃないという人がいても何ら問題はない。(どこかの幹事長みたいだな)ただ、甘さを重視する人が増え、酸味の強い品種が店頭に出なくなりつつある現状はいくぶん寂しいと感じているだけである。そんな理由から、アンズは酸味のきいた品種「信濃大実」2本、「新潟大実」2本、「平和」6本とし、甘い生食用の品種は「ゴールドコット」の2本に押さえた。
植える場所の周りを耕し堆肥を入れて丁寧に植え付けたのだが、悔しいことにそれから毎日3〜5本の苗木が、悪意でもあるかのごとく根っこから倒されている。原因はイノシシ、彼らは四つ足である。上側に通っている道路から、鵯越さながらの急斜面を駆け下って私の畑に侵入するらしい。罠をかけて捕獲するのはたやすそうだが、捕獲すれば猟友会にでも頼んで射殺するしか方法はない。畑は本来彼らのテリトリーであったのかも知れない。私が新規の侵略者かも知れないなどと考えて我慢していたのだが、昨日はまた3本が倒された上にワラビ畑を掘り返されてしまった。
豚を放牧して、耕作放棄地を再生させる話をいくつか聞いたことがあるが、確かにそれができるかも知れないと思う。イノシシは豚の本家筋に当たるだろう。話によれば、70Kgくらいの岩であれば掘り起こすという。上の場所も、ワラビの根っこが縦横に走っており、人力でここまで掘るのは大変な作業である。
桑の木の場合は、PVP(Plant Vareity Protecection: 植物品種保護)のかかっていない品種を必要な本数の3倍程度を挿し木しておき、被害があればすぐに補充するのだが、アンズでは母木がないのだからそういう訳にはいかない。掘られては植え直して水をやる繰り返しである。こんなことを繰り返していては活着など夢の話だと思い、仕方なく電柵を引っ張り出して設置することにした。二時間ほどかかってラインを張り出力チェック、果たして効果があるかどうか、明日が楽しみである。