2月6-7日

 朝、電話をもらった。山の隣の果樹園の持ち主Nさんからである。今日は風も弱いし暖かいから、「例のクスノキを切りましょうよ」というお誘いである。我々が手入れしている果樹園は昭和30年代に開墾されたものである。 従って開墾から60年近い時間が経っている。私の畑にある「例のクスノキ」も、大きさから見て樹齢は60年を超しているらしい。このクスノキに全く恨みはないけれど、大きくなりすぎて周りの日当たりが悪くなっていた。数年前から切らざるを得ないなと思いつつも、一人では手に負えないためそのままになっていたものである。

 Nさんはハンターでもある。散弾銃ではなくライフルの所有者であり、山仕事で私などとは隔絶した知識と技術を持っている。更にNさんの友人であるYさんも援軍として現れた。この方もハンターで、毎年北海道までエゾシカを撃ちに行くという強者である。まず木に登って片側の枝を落とし、重心を倒す方向にかけてやる。倒す側の根元に受け口と呼ばれる切り込みを入れる。勿論、チェーンソーを使う。受け口の中央より少し高い位置を決め、反対側から追口と呼ばれる切れ目を入れていく。この時、木のできるだけ高い位置にロープを架けてトラックで引っ張りながら、倒れる方向がずれないように制御するのだが、地形上トラックを倒す側に配置できない。仕方なく別の木に固定した滑車で方向を変えて引っ張ることにした。二人とも撃った鹿を藪や林の中から引っ張り出すために、多種多様なロープ・滑車・車載クレーンなどの機材を持っている。その機材をフルに使っての作業である。最初の1本を切るのに2時間ほどかかった。

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1本目のクスノキ 直径は85cm位である
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1本目の切り株 株本は直径1mを越える

 次の1本も同じ手順で切った。かかった時間はやはり2時間ほどで午後4時を過ぎていた。その後、倒れた木から枝を落とし1m程度の長さに切っていったのだが、最後までは終わらず日没となった。疲れて無理をしても危険なので、残りは明日に持ち越すことにした。と書けば、私も働いたように聞こえるが、実質の作業は殆ど2人の援軍が行ったことである。その割にはとても疲れた。こんなことばかりしているため、ブログの更新が遅れ気味になっている。気にはなっているが、薪の収集などこの季節にしかできないことが山積している。

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2本目のクスノキ 大きそうに見えるが1本目殆ど同じサイズである
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大きさの比較のため飼い犬をいっしょに撮影 この犬の体重は、約 15Kg である

 翌日早朝に、N耕作舎から「今日、堆肥をお持ちします」との電話があった。まず2トンを柿畑に降ろしてもらい、次の2トンを山の畑に運んでもらった。殆ど臭いのない熟成の進んだ堆肥である。ホームセンターなどで売っているものの中には、発酵が足りずべっとりしたものがあったりする。それに較べるとこの堆肥は良さそうで気に入った。その後、この舎長と少し世間話をしていたのだが、昨日我々が切ったクスノキの幹がほしいという話になった。楠は腐りにくいので、いま建てようとしている四阿の柱としてそのまま使いたいという。こちらとしても、そんな形で利用してもらえるのであればその方がありがたい。解体するにはもっと刃の長いチェーンソーを買わねばならないという現実的な問題もあるが、せっかく大きくなっていた木である。そのままの形で生かす方法はないかと思っていたところなので、一も二もなく譲ることで話がついた。

 我が家のウッドデッキから見ると、正面の山の山頂付近に立派な農舎(人が住めそうな)見えるのだが、会話の中でこれがN耕作舎さんの所有であることが判明した。その農舎の横に170mの井戸を掘ったので、風呂場も作るそうだ。あなたは堆肥を購入した客だから、この農舎を使って良いというところまで話が広がった。東の空に登ってくる月を見るにはこの上ない場所、仲秋の名月が楽しみになってきた。しかし、一献傾けた後どうやって家に帰れば良いかは問題である。まあその時はイノシシと鹿を見ながら泊まることにしよう。

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望遠で撮った農舎(我が家のウッドデッキより)

 明日からはしばらく寒いそうだが、農業機械・器具類の展示会が宮地嶽神社の駐車場で行われる。余りに寒いようであれば農作業を控え、展示会に出かける予定である。寒さがもう少し長引けば、ブログの続きがアップできるかも知れない。

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