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強い雨が降っている。我がうきは市にも大雨・洪水警報と雷注意報が発令中である。昨日は山の畑添いの道路の法面が崩れた。今朝は植えた稲が水没していそうなので、朝から止水板を外しにいった。冬期に何もつくっていない水田は、排水口の水位を調節すればそれなりの水位になるのだが、二毛作で麦を作っていた場合はそう簡単ではない。コンバインで麦を刈り、葉と茎は細断して畑に戻しているのだが、強い雨がするとこの細断され水に浮いた麦わらが大挙して排水口に流れ込み目詰まりを起こしてしまう。そうなると水位は一挙に上がり、植えた稲はすべて水没という事態を招いてしまう。雨の中であっても、排水口に詰まった麦わらを取り除く必要があるのである。
ニュースで田んぼを見に行った老人が水路に落ちて死亡という記事をよく見る。こんな雨の中、年甲斐もなく何をしに行っているのと批判的に見る人もおられるとは思うが、実際には行かざるを得ない場合も少なくない。イネは比較的水没に強いとは言え、長期の水没は好ましくない。早く活着してくれないと、除草剤を撒くタイミングを逸してしまう。植えた苗が、早く健康に育って欲しいと思えば、思わず体が動いてしまう。とはいえ、轟々と流れる用水路の横を歩くのは怖いものである。
スケールの小さな化学反応において、溶媒量の変更など何の問題にもならなかった。スケールアップしたとき、反応熱の除去の問題で悩むことはあったにしろ、溶媒量の問題は反応物の溶解度と反応様式を考慮しておけばさほど本質的な問題にはならなかった。(もちろん、proticな溶媒であるかaproticな溶媒であるかとか、溶媒の極性が高いか低いかなどと言う原則的なことを考えておくのは当然である )
ところが、水田における水量調節は思った以上に難しい。さほど広いわけではない3反の水田でも、1 cmの水位の変化は約30 トンの水量に対応する。豪雨で麦藁が詰まり10 cmも水位が上がった場合、これを元に戻すには300トンの水を流さねばならないのである。一般的な家庭の風呂の水量が250リットル、これを10秒間で排水する早さで流したとしても、300トンを流すには200分、つまり3時間と20分かかることを意味する。同時に、この水量は100ミリメターの雨に対応する。水口の止水版の調節は、雨の降り方と排水速度を、3時間後とか5時間後の水田の状態をイメージしながら調節する作業である。近頃少しは慣れてきたが、なかなか難しいものである。