先月の20日過ぎから熟期となった桑の果実、一昨日で収穫を終えた。桑の果実を大量に取り扱っている人がほとんどいない理由を痛感した。大量の果実が20日程の間に一斉に熟してしまう。平均3〜4グラムの果実を手摘みしていては、とても間に合うものではない。
さらに、摘んだ後の果実の逃げ足が極めて早い。その日のうちに処理をしないと次の日はグニャグニャになってしまう。この後熟の早さはきっとエチレンが原因であろう、エチレン生合成の阻害剤はなかったかななどと思っても、現場では役に立たない。あったにしても、当該植物に対する農薬登録がされていない限り、使えば違法行為である。植物生理学的知識などここではいらない、歩行禅ならぬ収穫禅の世界である。何も考えずに、ただただ果実を摘んでゆく。時々深呼吸をしないと、呼吸することさえも忘れている。
収穫して、洗って、選果して、フリーザーに入れる。何も考えずに20日間、これを続けた。売る事など考える余裕はない。それでも4割ほどは過熟の果実となり、株元に落ちた。菌核病の事を考えると、果実を落とすのは好ましくないのだが。