カキの話の続きである。朝9時頃から収穫して、夜の10時頃まで選別、袋詰めをしていると、「過剰と蕩尽」のブログ書きが疎かになってしまう。これは、少しばかりの余裕がないと思考が中断して書くのが難しい。この連休には12をアップする予定である。
4日前、九大のY君が手伝いに来てくれた。3日前には、研究室で同期だったやはりY君が手伝ってくれた。二人の援助で、ノルマであった31コンテナの出荷が終わったと安心していたら、昨日追加の注文があったという。身体不良老人にはちょっと過重なノルマを果たすため、折からの雨を無視して収穫を続けていたのだが、まだ不足と云うことで今日も朝から柿ちぎりである。天気は最悪の土砂降りである。レインコートに長靴、ゴム手袋にゴーグルをはめるという完全装備での収穫、ゴーグルにワイパーが必要であると痛感した。Sさん曰く、「こげな日に柿を採ったのは初めて」。なんだ、ワイパーは不要か。
Sさんとは別人のSさんが(S’さんとしておく)、雨の日には柿は採ったらいかんと教えてくれた。雨の日に収穫したカキは、濡れたヘタがすぐに黒くなってしまうと云う。下手をするとすぐに商品価値がなくなるという。とはいっても、採ったものはどうしようもない。S’さんにどうしたら良いかと聞いたら、拭いて水分を除けばいいという。試しにタオルで拭いてみると2、3個なら問題ないが、数が増えるとタオルが濡れてしまう。つまり水分を拭き取っているのか濡らしているのか分からなくなる。
仕方なく贅沢な方法を採った。薪ストーブを点け、除湿設定でエアコンをつけ、扇風機で風を送った。
柿にとっては快適な環境かも知れないが、折角の居間を占領された人間はいくぶん納得がいかない。さらに、柿のヘタの下には蜘蛛が潜んでいる。今年はカメムシが少なく9月の殺虫剤の散布をパスしたため、イラガと蜘蛛の数は例年よりはるかに多い。この蜘蛛たちが作業の段階で逃げ出し、部屋の中に散って行く。作業場を持たない新米の農家は、蜘蛛の巣の下で明日の朝を迎えるしかない。