3月20日 

  今日は退職の日である。退職慣れしているとは云え、そこはかとない感傷がないわけではなかった。この種の感情は時間に余裕があると、少しづつ理性を覆ってしまうものである。過去の退職は、それなりの感情のもつれによる緊張感があったため、感傷に溺れる恐れはなかったが、今回は生まれて初めての円満退職である。だからといって、爺のウエットな退職は私の生き様には合わない。

  どうすればよいか。忙しければいいのである。最後の最後まで走り回っていれば、感傷の入りこむ余地はないと考え、後片付けの残量をコントロールしてきた。結果的には上手くいったと言えるかも知れない。4時55分に最後のゴミを捨てたのだが、思うに1時間くらいはゆっくりしたかったな。

  夜に送別会を開いてもらった。有り難いことである。挨拶をさせられたというか、まあしたのだが、本来なら云うべきことを二つほど伝えていない。一つは、4年のあいだ実に気持ちよく受け入れて頂いていた方々への感謝である。これを云うと、言葉が詰まりそうな気がしたからである。この場を借りて、心からの御礼を申し上げたい。有り難うございました。

  いま一つは、学生の教育に関してである。職に就いたときからずっと、自らの経験を伝え、少しでも高いところから世界を見せてあげたいと思ってきた。しかし、これが成功したとはとても言えない。この希望自体が、思い上がった立場からのものであったのかも知れないと反省している。皆様の期待に添えなかったことに対して、お詫び申し上げます。

  数人の方と二次会に行って騒いだのだが(騒いだのは私一人かもしれない)、ここでも感傷的になるのを避け馬鹿な話ばかりしてしまった。意地っ張りだから仕方ないのです。下らない馬鹿話を笑って聞き続けてくれた方々に、心から感謝です。有り難うございました。

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