5月の初めにボリジと一緒にフェンネルの種をまいた。まずボリジが大きく育ち空色の花を付けた。一日中、マルハナバチがこの花を出入りしていた。梅雨になってしばらくすると、多分だが過湿が原因で急激に衰え枯れてしまった。ボリジが全盛期の頃、フェンネルはいまひとつ元気ではなかったが、7月に入って急速に大きくなり、花も咲き始めた。ボリジもだが、フェンネルも食べるつもりはない。フェンネルの花には多くの昆虫が集まるのである。それが楽しみで植えた。
ところが、十日ほど前からフェンネルの葉っぱが減り始めた。原因は、キアゲハの幼虫である。最終令になった幼虫が十数匹、黙々と葉っぱを食べている。こいつらが全部さなぎになるには葉っぱが足りないのではないかと思ったが、成り行きに任せることにした。私が介入してどれかの幼虫を間引くのは自然界の摂理に合わないかもしれないと思った。
そして昨日、あらためてフェンネルを眺めると、幼虫がいない。あそこまで育っていた幼虫を襲うとすれば、おそらくスズメバチであろう。(アシナガバチの可能性も否定はできないが)スズメバチは我が家の庭を、常に飛び回っている。先日は、飛んでいるツマグロヒョウモンを捕まえて、見る間に肉団子にしていった。それにしても、アゲハの幼虫は危機になると臭角を出し、イソ酪酸や2-メチル酪酸やそれらのエステルと数種の食草に由来するテルペン類を分泌して身を守るとされている。アリ類に対しては忌避効果があるという報告を読んだことがあるが、ハチ類に対してはどうなのだろう。その臭いによってハチが誘引される可能性がありそうな気がする。その場合、イソ酪酸は、アロモンであるのか、カイロモンであるのか。
そして今朝、よくよく眺めると1頭だけが蛹化に成功していた。自然界での生残率が極めて低いことは承知しているとはいえ、気分的にはいくぶん救われた気がする。但し、この蛹に寄生蜂が寄生している可能性はまだ充分に存在する。