- 毎年、今年の世相を表す漢字を日本漢字能力検定協会が選定しているのだが、今年は《熊》が選ばれたそうだ。熊による被害がメディアで頻繁に取り上げられたのだから、然もありなんと思わなくもないが少しばかり違和感がない分けではない。違和感の理由は後述するとして、2位だったのが《米》、3位は《高》だったという。投票数をみると(熊:23346票)、(米:23166票)、(高:18300票)で4位(脈:6418票)以下とは大きな開きがある。
- それぞれの漢字が何を意味しているかと考えれば、《熊》は熊による多発した襲撃事件と考えていいだろう。《米》は急激に上がった米の価格を意味すると思う。《高》も物価高の現在を反映していると考える。初の女性総理である高市氏をイメージしているとする解釈があるが、庶民感覚としては物価高の反映である割合が多いように感じる。《脈》という漢字、これが何を意味しているのかしばらく分からなかった。頻脈とか不整脈などが市中で頻発しているというニュースは読んだことはない。杉田水脈と言う政治家がいたが、参院選で落選して以来特に目立つことはしていなかったと記憶している。
- いくつかのサイトを参照した結果、これが関西万博の公式キャラクターであるミャクミャクからの連想だと書いてあった。個人的には余り好きなキャラクターではなかったので、特に感想というものはない。また私の感性が世の中とズレているなと思っただけである。
- それはそうとして《熊》で感じた私の違和感は、報道の中で例年の事件数との比較が殆どなされないことだった。新聞やウェブ上では、熊がでた、熊に襲われた、死者が出た、警察が出動した、自衛隊員の出動が可能になった、罠にかかった熊を処分した、麻酔銃を使った、東京にまで熊が出た、猟友会と行政担当者の間で揉めている等々のニュースで埋め尽くされた。熊が出没することで市民生活に影響が出ていることは間違いない。運悪く命をなくされた方々を悼むと同時に怪我をなされた方々の回復を願うのは当然であるが、例年の事件数との比較データはみたいと思っていた。
- 環境省にそのデータがある。クマに関する各種情報・取組というページに載っているのだが、各県別の生のデータがエクセルの表として示してある。字が小さすぎて見る気にもならない。狙い通りかもしれない。これを要約した物はないかと捜していたら読売新聞オンライン上に『クマ被害はどこで? 都道府県別の報告数や人身被害数の推移』というページがあった。ここから引用する。
- https://www.yomiuri.co.jp/topics/20251030-OYT8T50082/

- この図を見ると2025年の出没件数・捕獲数ともにかなり増えているのは間違いなさそうだ。2025年のデータが10月までのものである事を考えると、過去もっとも多かった2023年の3割り増しくらいまで増えるかもしれない。出没がもっとも多かったように思える11月のデータが加えてないからだ。

- 次は全国のクマ被害者数(25年度は11月末現在)のグラフである。12月分のデータが加えてないとはいえ、2023年より少し増えた程度である。熊の害を過小評価するつもりはない。確かに他の年度に比べると2倍以上の被害が出ている。腑に落ちないのは今年の被害であれ程大騒ぎをしたマスコミは、なぜ2023年度は沈黙していたのだろう。大騒ぎを納得しようとして少し調べたら、もっと納得できなくなってしまった。
要するに疑問は二つ、一つはなぜ熊の出没が増えたのかという真っ当な疑問、今一つは同じ程度の被害が出ていたにもかかわらず2023年はなぜ報道が殆どなかったのかということになるのかな。今年は熊報道で隠したいニュースがあったのだろうかという問題の立て方でも良いだろう。政治的にはいくつか思い当たる案件がなくもない。人類にとっては3I /ATLASの問題の方が遙かに深刻だろう?