老いたな

 少しばかり体調不良だなとは思いながらも普通通りの仕事を続けているのだが、今日は一寸ばかり違っていた。極めてプライベイトな野暮用で、午後から福岡市まで行ってきた。ついでに乗って行った車を旧家に置き、代わりの車に乗り換えて帰ってきたのだが、昔ずっと乗っていた車であったにも関わらずエアコンのスイッチの入れ方の記憶にない。外気温3℃、寒い中車を止めてあれこれと運転席周りのスイッチを探し、何とか暖房が効くようになった。何でこんな手順を忘れたのだろうと少々戸惑いながら乗っていたのだが、異変はこれで終わらなかった。

 都市高速の太宰府インターで3号線に降り、200号線へと乗り換えた。少し眠くなったいたのでどこかで休もうと思っていた。200号線の筑紫大橋を降りて県道の53号に乗り換え少し走ると左側にセブンイレブンがある。ここで車を止めた。眠気覚ましにと飲み物と菓子を買い、しばらく休んだ。睡魔は去ったので539号へと左折したのである。何度も走ったことのある走りなれた道なので、突き当たりのT字路で右折すれば良いとゆっくり走っていたのだが、いくら走ってもT字路が来ない、あるはずの386号線にでないのである。延々と見知らぬ道が続くだけである。因にこの車、25万キロ以上乗っていてナビのシステムは壊れている。

 おかしいなおかしいなと走っていたのだが、どこをどう走ったか記憶が定かではない。途中、制限速度を守ってノロノロと走るものだからハイビームの車に煽られ気味であったことは微かに覚えている。気がついたら旧386号線を超えて新しい386号線の上にいた。道がわからないので丁寧に乗っていたと思うのだが、何か違反でもしたのではないかとすごく不安である。とにかく30〜40分程の間、記憶が完全に飛んでいる。

 キツネかタヌキに化かされたのでなければ、小さな脳梗塞が起こったのだろう。簡単にいえば脳の老化だ。スバルの1000を皮切りに11台の車を乗り継ぎ、130万キロ以上を走ってきた。道に迷ったことは勿論あった。しかしそれは、知らない道で行けるはずという判断から行ったところが道が消えた場合であり、どこで曲がったのか記憶がなくなったりしたわけではない。今日の場合は、良く知った道でありながら、どの交差点で曲がったのか、何故曲がったのかの記憶が全くない。さらに、その後数十分間の記憶も定かではない。知っているはずの言葉が出てこない、知っているはずの人の名が出てこない、それは時々あった。人の名を忘れるなんて若い頃からあったので、余り気にしていなかったとはいえ、こんな経験をするといろいろと考えなければならなくなりそうだ。

 キツネかタヌキかカワウソかに化かされていたほうが良かったのかもしれないと、考え始めている。でもまあ、きっと誰もが通る道であることは間違いない。今後は暗くなったら車に乗らないようにしよう。

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