タマホーム(株)の玉木伸弥社長(42)が、社内に事実上の“ワクチン禁止令”を出しているという記事が週刊文春に出たことで、結構大きなニュースになっている。ヤフーニュースから引用したい。
「接種したら無期限の自宅待機」タマホーム社長が社員に“ワクチン禁止令”
大手住宅メーカーのタマホーム(本社・東京都港区)で、玉木伸弥社長(42)が社内に事実上の“ワクチン禁止令”を出していることが「週刊文春」の取材で判明した。複数の現役社員らが社内資料やメールを基に証言した。
今年7月上旬、玉木社長は、幹部らが参加するオンライン会議でこう訴えた。
「世の中がなんと言おうとも、ワクチン接種に反対です!」
約1カ月前の6月初旬、ほぼ全社員がオンラインで視聴した「経営方針発表会」ではこんな一幕があった。玉木氏が突然、「ワクチンを接種したら5年後に死にますからね」と口走ったというのだ。社員のA氏が明かす。
「ギョッとしました。その後『5Gがコロナ感染を引き寄せる』という意味のことも言いました。まったく理解できず、不穏な予感がしました」
6月中旬には、玉木氏は幹部に対し「ワクチンを接種した場合は無期限の自宅待機」
「(自宅からの社用)PCへのログインは禁止」などのルールを伝えたという。
ある支店に勤務する社員の親族・B氏が語る。
「ワクチンを打てば出社を拒まれ、それでも働きたければ『モデルルーム周辺の草むしり』や『配置転換』と言われ、閑職への異動がほのめかされるそうです。表向きは『打つか打たないかは個人の判断』とも言っているようですが、実質は『打つな』に等しい。持病があって早めに打ちたい人もいるのに、理不尽です」
その後に配布された、7月6日付の社内資料にはこう記されている。
「感染拡大防止対策に関する社内ルールに違反した場合、自宅待機を命じる」
「自宅待機期間中は欠勤(無給)扱いとする」
社員のC氏が語る。
「この資料自体はワクチンに関する記述を避けて作られています。ただ、普段からワクチンを打てば自宅待機と言われているため、『自宅待機=無給』はワクチンを打った際にも適用されると多くの社員は理解しています」
労働基準法違反、パワハラ行為に当たる可能性
労働問題に詳しい旬報法律事務所の佐々木亮弁護士が解説する。
「会社側の都合で社員に自宅待機を命じた場合、基本的に賃金は100%支払わなければいけません。本当に無給にした場合、労働基準法24条に違反する可能性があります。また、ワクチン接種をしたらペナルティーを与えるというのはパワハラの類型の一つである『個の侵害』にあたります。個人携帯の5Gオフを強制したとすれば、それも社員のプライバシーに立ち入って嫌がらせをするパワハラ行為と言えます」
タマホームの広報担当は、「私どもは7月15日に(ワクチン対応に関する誤った書き込みについて、と題した)リリースを出しており、今お答えできるのはそれがすべてです」と答えた。
そのリリースには、
「当社の新型コロナワクチン対応に関する誤った内容を記載した、匿名での書き込みがTwitterや掲示板上にてなされております。当該一連の書き込みでは、当社が社員に対し『新型コロナワクチンを接種しないよう強要している』『新型コロナワクチンを接種した場合、懲戒解雇にすると発言している』といった内容が書かれておりますが、そのような事実は一切ございません。新型コロナワクチンの接種につきましては、個人の判断に委ねております」と書かれている。
だが、接種した際に自宅待機となることや、社用PCにもログインできず業務が事実上できなくなることなどには一切言及していない。
コロナ感染が拡大する中、東証1部上場で年間売上高2000億円を誇り、3400人超の社員を抱える大手企業の“ワクチン禁止令”は、議論を呼びそうだ。
7月20日(火)16時配信の「週刊文春 電子版」および7月21日(水)発売の「週刊文春」では、タマホームの社内の様子を伝えるさらに詳細な証言や、玉木社長の人柄、米大統領に絡む驚きの指示などを報じている。
「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年7月29日号
ヤフーニュースも週刊文春電子版と週刊文春からの引用なのだが、このニュースに対して14,000件近いコメントが寄せられているし、いろんな所で物議を醸していると聞く。そこで、この社長の言い分についてだが、私もあれこれと情報をあさっている人間であるから彼の発言のネタが何処にあるのかは知っている。信憑性の高い部分もあれば、何となくまだ腑に落ちていない部分もある。さて、タマホーム(株)、従業員数は3,500人弱である。常識的に考えれば、ワクチンを信頼している多くの社員がいることは容易に推測できる。とすれば、彼の発言がこうした騒ぎになることは容易に予想できたはずで、余りにも不用意であったことは間違いない。この記事が出たことが原因で同社の株価は314円(ほぼ10%)急落した。
今後、ワクチン接種に賛成の社員と反対の社員、ワクチン接種に賛成の顧客と反対の顧客、さらには様子見の中間派の社員と顧客が、「ワクチン打ちましたか」と、腹の探り合いのような挨拶から商談に入るわけで、事態がどう推移して行くのか予想は難しい。この騒ぎを契機として、社内ではワクチン不接種を強制する動きは抑制され自己判断を尊重するという形で落ち着くことは間違いないだろう。従って、株価はじきに戻るのではないかと予想している。ただ、相手は「週間文春」である。まだ隠し球があるかもしれない。
さて、加藤勝信官房長官は21日の記者会見で、大手住宅メーカー社長が社内に事実上のワクチン禁止令を出しているとの週刊文春報道に関し、「国民が自らの判断で接種してもらうことが大前提となっているわけで、そうした環境をつくることが重要だ」と強調したそうだ。迅速な対応でありかつ正論である。余りにも正論過ぎて、ケチをつける所がない。こんな書き方をすると何かありそうだと勘ぐる人がいそうだが、その通りである。世の中、ワクチンを打ちたくないにも関わらずワクチンを打たないと仕事を続けられないという悩みを持つ人の方がはるかに多い。今回の事件、一部上場企業の社長発言に端を発したものでニュースバリューが大きかったため、政府の反応が速かったと理解しているが、接種するかどうかは国民自らの判断に基づくという観点から、逆のケースに対する言及も必要であったのではないか。