新米農民の日々

農薬雑感 1

 薬剤つまり農薬と聞くと、柳眉を逆立てる都会人がたくさん存在するが、暖地での果樹栽培は農薬抜きでは極めて困難である。一部の神のごとき観察力と対応力を備えた篤農家でないと、なかなか実施できないのではないか。薬を撒かないという判断は、その年の収入をかけた判断である。サラリーマンの一寸した判断とは違うことを、身をもって感じている。

 だからといって農薬礼賛ではない。40年近く農薬にまつわる仕事をしてきた。従って、一般の人以上に農薬の毒性と安全性については知っているつもりだ。農薬は安全だと決めつけるヒトは危険であるし、農薬は危険であると決めつけるヒトもまた危険であろう。農薬の毒性を知っているヒトが用心しながら使うというのが、現実的な答えではないか。農薬代金は馬鹿にはならない。減農薬は農家にとっても優しいのである。

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